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特に理由は無かった。
ただ、なんとなく。目に入ったから。しかしAの視線はその広告に釘付けだった。
『MANKAIカンパニー………か。流石ビロードウェイ。』
そこに書かれていたのは、1日2食付きの住み込みでのお手伝い、というところだ。
住み込みでの仕事に抵抗がない訳では無いが二食付きで家賃がただ、というのは正直かなり魅力的だった。
もちろん給料も出るらしい。
『…………お話だけでも聞いてみようかな。』
何故かは分からないが、やってみようと思った。
Aは広告に書かれている場所へ行こうと地図を見た。
「すいません、MANKAIカンパニーお手伝いの件ご検討されていますか?」
突然、後ろから声がした。
意識は広告に向けられていて背後に立っている誰かに全く気づかなかった。思わずAは素っ頓狂な声を上げた。
「あ、ごめんなさい。驚かせてしまいましたか。私、MANKAIカンパニーの主宰兼総監督をしております。立花いづみと申します。」
とても綺麗で若い女の人だった。
Aは正直目を疑った。こんなに綺麗な人が、舞台の総監督をしているのか。
思わず固まっていると、いづみは柔らかい声色でよかったら話を聞かないか、と言ってきた。
『よ、宜しくお願いします……。』
気づいたらAは震えた声でうなづいていた。
いづみは嬉しそうに微笑んでからAを寮に案内した。
あまりに急なことにAの鼓動は激しく脈打っていた。
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作者名:梅おかか | 作成日時:2017年8月24日 22時