【A3!】大好きなお兄ちゃんへ【三好一成】

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「ここが団員寮だよ。」

　監督さんに連れてきてもらった寮は、予想以上にとても大きく、そしておしゃれだった。ここにMANKAIカンパニーの劇団員たちが過ごしているわけか。

「さ、遠慮せずに上がって。」
『お、お邪魔します。』

　ドアを開くとそこには、広々とした玄関があった。

『わぁ…！すごく広いですね！』
「みんなが使う玄関だからね。もうすぐ夕飯の時間だから、よければ食べていく？」
『え…！そ、そんな申し訳ないです…！私、部外者なのに…。』
「全然部外者じゃないから！だって一成くんの妹なら歓迎だよ。」

　そう言うと、監督さんはまた微笑む。嗚呼、なんてこの人はこんなにも優しいのだろう…。まるで女神さm

「監督、お帰り。その人誰。」

　ふぇ…？

『あ…えっと…。』
「あ、真澄くん。ただいま。この子は一成くんの妹なn「監督は渡さない。」って、え！？ちょ、真澄くん！？」

　突如、私に敵意を示してきた真澄くん。その睨みつける視線はとても怖い。

『ひぃっ！』
「Aちゃん大丈夫だから！真澄くんも女の子にそんな目線しちゃだめだよ！」
「女でも監督の横で歩くのは許さない。その位置変われ。」

　その恐ろしさに耐え切れず、私は監督さんの後ろに隠れる。

「あれ？カントク帰ってたんですね！おかえりなさい。」

　真澄くんの後ろから、赤毛の男の子が顔を出した。

「それとお客さんですか？よければぜひ上がっていってください！」

　男の子は私を見るや否や、寮に上がることを歓迎してくれた。

「おい、玄関でなに話してるんだよ。」
「あ、カレー星人帰ってきたんだ。おかえり。」
「オー！お客様ネ！」
「監督さんがこんな時間に人を連れてくるなんて珍しいね。」

　続々と玄関に人が集まってくる。みんな私のほうに目線が集中し、不思議そうにしている。

(ひ、人が多い…。)

　一人一人の目線がとても辛い。どうしよう…。やっぱり今日は断って帰ろうかな…。

「あれー？なんか玄関賑やかじゃーん！みんなどうしたn…って、Aっ！？」

　たくさんの人に囲まれている中、その後ろに私のよく知る人物が。

『あ……お兄…ちゃん…。』

　その姿を見るだけで、私の涙腺が滲み出す。

『うぅ…。お兄ちゃああああんっ！！』

　その人混みを押しのけ、勢いよくお兄ちゃんに抱き着く。

「…A、久しぶり。」

　抱き着いた私の頭を優しく撫でる手。その暖かい温もりに、私は今までの寂しさを涙で表した。


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