【A3!】大好きなお兄ちゃんへ【三好一成】

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「MANKAI寮ってとこがあるらしいんだけど、みんなそこに寝泊まりしてるんだってさ！だから、Aとは離れちゃうんよねー。」

　寮について説明をするお兄ちゃん。しかし、頭が真っ白のせいで私の耳には一切入ってこない。

　お兄ちゃんと"離れて暮らす"。今まで、そんなことなんて考えたこともなかったし、考えたくもなかった。いつも一緒に起きて、一緒に登校して、そして一緒にご飯を食べて…。
　でも、そんな当たり前のことが、できなくなってしまう…。


　嫌だ…。お兄ちゃんと一緒にいたい…。独りになりたくない…。やだよ…。行かないで…。私を置いていかないで…お兄ちゃん……。

『……い…いかない…で…。』
「A…！？なんでそんなに泣いてるの！？」
『え……。』

　気がつくと、私の目から大きな涙が流れていた。

　あれ…。おかしいな…。感情、抑えていたはずなのに。なんで…泣いちゃだめだよ。泣いちゃいけない…。

「…A。今日はもう帰ろっか。」

　何かを察したのかお兄ちゃんは優しく微笑み、「ほら」っと私の手を握りお店を出た。


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　その日の夜。私は部屋で、お気に入りのぬいぐるみを抱えながらお兄ちゃんを待つ。

「ほら、飲み物持ってきたよ。」
『…ありがとう。』

　お兄ちゃんは部屋に入るや否や、私に飲み物を渡してくれた。

「…ま、大体のことは察してるけど、Aからもちゃんと言ってほしいな。」

　優しく私の頭を撫でながら、泣いていた理由を問う。

『…本当は、応援したい気持ちでいっぱいなの。でも、どうしてもお兄ちゃんと離れてしまうことを考えると、また独りになっちゃうんじゃないかって怖くて……。寂しくて…。』

　震える声を抑えながら、自分の口で理由を告げる。お兄ちゃんは頷きながら、話をしっかり聞いてくれている。

『でももう高校生だし、いつまでもこんな感じじゃいけないと思うの。お兄ちゃんもやりたいことがあるんだし、私もいつまでも甘えていたらだm「A」』

　突然、話している最中にお兄ちゃんから話しかけられ『何？』と聞き返そうとしたその時。

ギュッ

『お兄…ちゃん……？』
「こうして抱き締められるの、嫌いじゃないっしょ？」

　今にも崩れてしまいそうな私の体を、お兄ちゃんは強く抱きしめる。

「泣いちゃっていいから。我慢なんてだーめ。」


　ずるい。ずるいよ。反則だよ。

　そんなことしたら、泣くに決まってるじゃん…。


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