彼女疑惑：１ ページ1
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冬組の第３回公演まで終わり、落ち着いてきた頃。
俺達はカンパニーで安定した生活を送っていた。
「ほかいまッス〜」
俺が秋組内で最後のお風呂を終えて談話室に入ればそれぞれくつろいでいる秋組のメンバーと春夏組の１部。
「お、太一上がったか。
次夏組だからさ、天馬部屋にいるはずだから呼んできてくれる？」
キッチンで夕飯の後片付けをしている臣くんに声をかけられる。
次のお風呂は夏組で、ここに居ないのは天チャンだけ。
夏組メンバーは、何の気にも止めずお風呂へ向かっていく。
…たしかにこれは俺っちが行くしか…。
「はいッス！行ってくるッスよ！」
臣くんにそう返事をして、天チャンの部屋へ向かった。
すると、幸チャンが戻って来て、「ねえ」と声を掛けてくる。
「天馬、新しいドラマ決まったみたいだから、台本読んでるかもしれない」
「え、あ、うん…？」
「だから、遅くなっても仕方ないから、邪魔はしないでやって」
不機嫌になった天馬に八つ当たりされるのめんどくさい…と呟きながら幸チャンは去っていく。
…なんだかんだで、幸チャンと天馬チャン仲いいんだなあ…と改めて実感する。
『＿＿＿＿に決まってんだろ』
天チャンの部屋の前まで行けば聞こえる声。
幸チャンの言う通り、練習中かな…？
少し開いている扉の前で突っ立つ俺。
終わるまで待っていようとしていたその時だった。
『なんてったって、俺は天才役者皇天馬だからな！』
…あれ、演技じゃない…？
そう思い、扉の隙間から覗くと電話しているようだった。
「…そっちはどうなんだよ。…その…楽しいか？」
少し切ない表情を見せる天チャン。
演技じゃなく、その自然な天チャンの表情に少し見惚れてしまった。
……まるで、恋しているかのようなその表情に。
「…会いたいに決まってんだろうが。は？
＿＿＿＿そりゃ、愛してるから会いてえんだよ」
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作者名：栗本ちゃん。 | 作成日時：2018年3月7日 18時
