10 ページ10
:
「 服 … おかしく、ないよね 」
約束の時間に少し遅刻しそうな俺
前日の夜に決めていたはずの服は着るのに少し手惑い
適当にかけてあって灰色のパーカーに茶色のカーゴパンツを履いて
ボディバッグに財布やらメガネやらを入れて家を飛び出した
普段コンタクトしてる俺だが
寝坊した為に付ける時間なんてなく、黒縁メガネで行く
そんな走ってる中、道路を超えた先にあるショーウィンドウに目が行き
足を止めて自分の格好を見詰めた
こんな服で良かったのか今更心配になる
あぁ、なんで寝坊したんだろ
アラームを掛けたはずなのに鳴らなくて
起きようと思ったけど起きれなくて
遅刻の理由は浮かぶのに、足が動かない
初デートじゃないんだから、俺ってば。
「 翔太 」
じっとショーウィンドウを見詰めてる時
大きなトラックが前を通った
そんな通り過ぎた瞬間、耳元で声が聞こえ
ショーウィンドウには深澤の姿が映る
「 え … っ、うわっ 」
「 おぉ、アラーム鳴ってんね 」
横を振り向いて、時が遅く感じた瞬間に
鳴らなかったアラームが鳴った
二人して驚き、俺は急いでアラームを止めてバッグに携帯を入れてチャックを閉める
顔を上げて深澤の姿を見ると、コートにセーターにワイシャツ
“ 大人の男性 “ 丸出しの服装だ。
「 そっちがたつやなら俺も翔太の方がいいかなって
タメの方がやりやすいし 」
「 あぁ … うん、全然いいよ 」
「 うっし！んじゃ行こっか 」
綺麗な白い歯
綺麗な目
綺麗な唇
もうこれ、恋しちゃってんじゃん。
隣で「昨日テレビでさ〜」なんて話す深澤を見詰めながら
唇を尖らせて、話が入ってこない中見詰める
この香水どこのだろ、後で買お
ピアス、あのブランドのかな
このコート多分あの店だよね
恋人と物は全て一緒にしたいタイプの俺は
恋人でもない深澤の所有物と同じものが欲しい
サイズも色も何もかも。
「 んで … あれ、翔太？ 」
「 ……… あっ、え、あごめん 」
「 んは、何まだ眠い？昨日何時に寝たの？ 」
俺の顔色を気にしたのか、微笑みながら深澤は自然に手を挙げて
俺を見ながらタクシーを捕まえた
「 着くまで寝てな 」
と言って俺を先に乗せ、隣に深澤が乗る
近すぎんじゃん。
:
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：渚 | 作成日時：2022年4月29日 21時
