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「 深澤くん、それ持つよ 」
「 え？あー！まじ！？ありがと！ 」
高校の時は人一倍影が薄くて
眼鏡も掛けてて細身だった
髪型だって、いつも前髪は目にかかっていたし
クラスの人間からも「芋」なんて呼ばれてたのに
ほんと、いつからなんだろ
「 深澤くんは大学どこ行くの？ 」
「 んー、特に決まってねぇけど就職有利な所かな 」
「 現実味あるね 」
「 ま、先の事考えて動くのは失敗しないしな 」
高三の春
もう皆が皆行きたい大学の候補を上げてる時に
そんな話題となった
まあ友達とも同じ話題になったし
不自然ではなかったけど、正直驚いた
その前まで沢山話す仲でも隣の席とか、近い席でも
無かったから
まぁ、無言な空気が嫌なだけなんだろうなとは
感じた
「 お前も変わったよな 」
「 俺？ 」
「 そ、高校の時はあんなに陰キャモロだしだったのに 」
「 … なんも変わってねえよ、俺 」
再度ソファに二人で座って肩を並べあいながら
岩本が煙草を吸って
俺がそれを見ながら話す
岩本は少し遠くを見て小さく呟いた後
用意した灰皿にグリグリと煙草を押し付ければ
またため息を吐いた
「 今は何してんの？ 」
「 俺は普通に会社員、取引先に振り回されながら
バンバン営業マンしてるよ 」
「 ふっからし 」
「 そういう照は？確かアメリカで起業だっけ 」
「 そ、大学卒業して直ぐにアメリカに行って起業
んで、日本に帰ってきたけどトラブルで一ヶ月前に
またアメリカに行ったんだよ 」
「 ふーん、社長さんだね 」
「 やめてよ 」
笑いながら優しくグーで俺の肩を叩き
“ ハハッ “ と笑う岩本の笑顔
確かに変わってない
でも一つ気がかりな事がある
「 ねえ、照 」
「 ん？ 」
どうして
「 どうして俺が彼女に浮気されて別れたって 」
:
知ってるんだろう 「 知ってんの? 」
:
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作者名：渚 | 作成日時：2022年4月29日 21時
