おかえり。 (ページ7)

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いつも行くコンビニの店員さん

前髪が長くて後ろ髪も少し長い

寝癖は無くて、朝8時になれば姿は無い

だけど夜12時になれば姿を現す

たまに、夕方入ってることがあるけど。

好意は特別無かった

カッコイイな、接客態度良いな、笑顔が可愛いな

なんて会う度思うだけ

思い過ぎなのかもしれない

彼女に振られた俺の癒しがただあの人だけで

覚えてもらう為に、大人の男性だと思ってもらう為に

毎日苦くて嫌いなコーヒーを頼んで

その店舗にしかないメロンパンを買う

必ずスーツを着崩さないで

ヘアセットは欠かさない

スキンケアだって入念に。

まるで毎日が初デートの様に頑張った

そんなある日、上司から映画のチケットを貰った

　“ 妻が見に行けなくなったから、お前にやる “

恋愛映画のチケット2枚

彼女と別れたばかり、その理由も知ってる癖に渡してくる上司は鬼か

なんて思ってる帰り道にコンビニが目に入った

彼がいない事は知ってたけど、入店して

辺りを見回す

不意にも何故か

　“ あの人と、見に行きたい “

と思ってしまった。

多分、好きではないと思う

多分。

「じゃあ、たつやって呼びますね」

映画のチケットを受け取り、連絡先を交換した彼がそう言う

正直飛び跳ねる程嬉しかった

だけど顔は正直になれなくて、眉をひそめてしまう

「嫌、でしたよね」

「え、えいやぜんっぜん！！！超嬉しいです！」

そう言うとクスって笑う

「シフトが明日決まるんで、送ります」

携帯の画面を見ながら言う君にまた何故かドキッとして

俺はパンコーナーに急ぎ、彼とは違う店員さんにコーナーを頼む

チラッと君の方を見ると

目が合って、ニコッと微笑んだ

好きだな。

不意に思ったこの言葉は

君には聞こえない。