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吸い上げる様に相手の唇に吸い付く俺
深澤も深澤なりに俺の後頭部に手を置いて深く重ねてくる
リップ音が二人の耳に狂う程入って来たと思えば
膝の下に腕を通され
グルンと深澤が座っていた場所に俺が座らせられた
それでも唇を離さない俺達
背もたれに手を置いて、完全に俺が覆い隠された状態になった
俺は深澤の首に腕を軽く巻き付け、そっと目を開くと
目の前は好きな人の顔だけ
脇の隙から先程のカップルはどうなったかを見ると
もう姿はない
「 俺に集中して 」
息が切れながらも見詰めさせてきた深澤に
更にまた深く口付ける
何も聞こえなくさせる為
集中させる為に深澤の耳を手で閉じ
わざと感じさせるようにリップ音を鳴らすと
「 … どこで覚えたの、それ 」
と、唇を離してニヤッと口角を上げながら見詰める深澤に言われた
俺らは息を整えながらも帰る準備をして
映画が終われば、誰よりも先にシアターから出る
その間俺らは無言
いや、正直何を話せばいいのか分からなかった
「 … ごめん、つい夢中になって、さ … 」
夢中になり過ぎた、かな。
少し反省しながらも深澤が頭を下げて俺に言う
「 こんな事いきなり聞いて困るだろうけど
良い? 」
頭を下げる深澤に俺はそう言葉を放つ
顔を上げて俺を見る深澤に
「 たつやは、俺の事好き? 」
何ともまぁ、直球に聞いたもんだ。
勘違い女や勘違い男が良く聞くセリフ
漫画の中ではこのキャラ皆に嫌われるキャラクター
最後には振られて復讐なんか立ててくるってのも
稀にいるキャラだな。
でも、あんなキスしといて
“ 友達だと ___ “
なんて言われるのは尺に合わない
「 恋愛的に好きだよ 」
体勢を直した深澤は真剣な顔をして俺の目を見て
優しく告げた
幸運、だな。
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作者名:渚 | 作成日時:2022年4月29日 21時