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彼は僅かに片方の口角を上げると、その引き金に手をかけた。
ru「待って、違う! ねえ早まらないで!!」
阿部を、「Time」を死なせてはいけない。それだけは絶対に避けなければならない。
そう思った時には、ラウールは無我夢中で阿部の元へ走りだしていた。早くしないと彼は引き金を引く。
彼はラウールに目を向けると、その口角を歪に上げた。
その不気味な笑みにラウールが足を止めるのと、彼が銃をラウールに向けて引き金を引いたのはほぼ同時だった。
ru「っ……!?」
ラウールの太股に銃弾が突き刺さる。その激痛と彼が突然起こした行動に、混乱しきったラウールはその場に崩れ落ちた。
どういうつもりだ。何処までが本心だ、何処からが罠だった?
ラウールの脳はもう働かない。何も考えられない。目の前で嗤う彼は何を考えている?
ab「……ははっ、」
ru「どういう、こと……?」
ab「気が変わった……こんな終わり方つまらないなあって思って」
彼は動けないラウールを横目にゆったりと歩き始めた。
向かう先にあるのはカーテン。それに手をかけると、入り込む日差しが彼の顔を照らした。
ab「……こっちの方が面白いと思うんだ」
乾いた笑みに死んだ目を乗せた彼は、カーテンの向こうの大きな窓を開け放った。
何をするつもりなのかを察して、ラウールは必死で叫んだ。
彼は振り返ってラウールの方に向き直った。
ab「もうやめる、終わりにするよ」
ru「待って……ッ!!」
ab「だって……俺は邪魔なんでしょう?」
ru「やめて、違うって!!」
ab「……ねえ、ラウール」
突然名前を呼ばれてラウールは彼の言葉に耳を向けた。
その顔から空虚な笑みが消えた。眼が光ったのは、果たしてconfusionのせいなのか。
ab「俺が間違ってるなら……何が正しかったのか、教えてよ」
ラウールの返事を聞く前に彼は指を鳴らした。吹きつける風がやけに冷たかった。
kj「……あれ」
iw「おい阿部は」
fk「え、ラウ……っ!? おい! お前怪我してんじゃねえかよ!?」
sk「阿部ちゃ……阿部ちゃん!!」
急に動き出した七人は、崩れ落ちたラウールと窓に背を向けて立つ阿部の姿を見て混乱した。
ru「お願い! やめて!!」
涙声で叫んでも、ラウールの言葉は届かない。
その叫びで全員の視線が集まった時、彼は満面の笑みを見せて両手を広げた。
ab「さようなら!!」
ゆっくりと、彼の体が後ろに倒れた。
その姿が全員の視界から消えた後、遠くで鈍い音が聞こえた。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
