マツロ/1 ページ20
その部屋は一人用にしてはやけに広かった。
窓になっているのだろう、壁一辺が分厚いカーテンで覆われており、部屋の奥にはコンピューターと無数のモニターが並べられている。
それらの機械の前に座っていた阿部が、全員が入ってきた頃を見計らって振り返った。
ab「久し振り、っていってもさっきぶりか」
iw「阿部……」
ab「誰か一人くらい死ぬかなって思ってたけどそうでもなかったね。流石A-chip持ちの精鋭部隊。すごーい」
sk「……阿部ちゃん」
阿部は薄っぺらい笑みを浮かべ、棒読みで手を叩く。どう見ても小馬鹿にしている。
そんな阿部を見て、深澤たちは怒りや悔しさや哀しみが混じった複雑な感情を抱いた。佐久間に至ってはすでに泣きそうになっている。
ab「そうそう、目黒見てたよ。派手にやってくれたねえ……人殺し」
dt「やめろッ」
mg「っ……」
阿部が口角を不気味に上げて吐き捨てる。
目黒と繋いだ手に痛みを感じて、ラウールは慌てて目黒に目をやった。
ラウールの手を潰す勢いで握りしめながら、張り付いていた笑みを潜めて阿部に殺意をむき出しにしていた。
まずい、そう思ったラウールより先に行動を起こしたのは阿部だった。
ab「ま、何だかんだ言ってもお前らには興味ないんだけど」
ね。と言うのと同時に阿部が指を鳴らした。
力を込められて震えていた手が突然ぴたりと動かなくなって、ラウールは目黒を見やった。
鋭い視線を阿部に向けたままではあるが、その顔の筋肉も、髪の毛一つさえ動いていない。
周りを見渡せば、第零班の面々は誰一人として動かなくなっている。
紛れもなく、この空間の時が止まっていた。
ラウールの正面で、目を爛々と紅く光らせた阿部がにっこりと笑っていた。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
