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至る所から吹き出した赤が、部屋中を染め上げた赤が綺麗だと思った。綺麗で、汚かった。
モノが壊れる厭な音が、心地よくて、気持ち悪かった。
＿＿そうか、気持ち悪いのか。
目の前に広がる地獄も、一面に転がるモノの破片も、ここにいた腐った連中も、こんな奴らがいたこの場所も、この組織も、何もかもが気持ち悪かった。
そして、こんな風にしか生きられなくなった自分も。
こんな事をしても、もう元には戻れないというのに。
こんな事をしても、誰も、自分も喜ばないのに。だったら何故、こんな事をしたのか。
＿＿嗚呼、化け物だからか。
その答えに辿り着いたら、なんだか笑えてきた。
敵をようやく一掃すると、宮舘を先頭に向井とラウールも走っていた。
目黒がいるとすれば、かつて自分が閉じ込められていた部屋かその先の研究室のはず。その宮舘の予想は的中した。
目指す場所に近づくほどに鼻を刺す錆びた臭いに、嫌な予感が膨れあがっていく。
やっと研究室が目に入ったと思うと、開かれた扉の先に目黒が立っているのが見えた。
目黒の向こう側には、ペンキで塗りつぶしたかのような赤が見えた。その塗料の正体と床に転がるモノに気づいて、彼等は部屋の前で立ち尽くした。
dt「っ……!?」
kj「……うっ」
ru「めめ……っ」
dt「見るな、絶対に見ない方が良い」
宮舘はラウールの視界を塞ぎ、向井は思わず口を押さえて蹲った。
mg「……あはは、」
それでも目黒の笑い声が聞こえると、向井は無理矢理立ちあがった。
また壊れた、そう感じてしまったから。
必死でこみ上げてくる物を押さえながら、部屋に広がるモノを視界に入れないようにして、向井は目黒と向かい合った。
向井が正面に立ってもなお、目黒はぼんやりと部屋を眺めて笑っていた。
kj「……めめ、」
mg「ふふふっ、」
kj「めめ」
向井は目黒の頬を両手で包み、その目を自分に向けさせた。
目黒は焦点の合わない目で向井を見ると、抑揚のない声で呟いた。
mg「……化け物、」
kj「違う」
mg「人殺し」
kj「めめ、」
mg「気持ち悪い……あはは」
壊れたように笑う目黒を見ていられなくなって、向井は思わず目黒を抱きしめた。
恐怖も吐き気もどこかへ飛んでいた。ただ、彼を抱きしめたかった。
kj「……俺はずっと側におるから」
mg「あははっ、」
kj「何があっても、ずっとおるから」
向井がそう伝えても目黒は笑っていた。
その目からぼろぼろと涙を零して、くすくすと笑い続けていた。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
