カクシゴト/1 ページ13
その夜、深澤は近所の公園で煙草を吹かしていた。
誰もいないベンチで憂いていると、視界に入ったのは見知った人影。
iw「やっぱりここにいた」
fk「何、なんかあった」
iw「別に。いないなって思っただけ」
岩本は深澤の隣に座ると煙草に火をつけた。
fk「……どうしようね」
iw「……ラウールか」
fk「まだ16歳だよ」
第零班に未成年が入るのは初めてだった。
既存メンバーで最年少の向井までの時代は、そもそもchipが今ほど普及していなかった。加えて使用制限も20歳と厳しかったからだ。
iw「どこまで話したの」
fk「何にも話してないよ。上手い事ごまかした」
ラウールには話していない事が沢山ある。
例えば、第零班に入るのはA-chipを「手に入れた」人間ではなく、A-chipと「適合した」人間であるということ。
A-chipは誰でも使える訳では無い。ラウールは適合したために倒れただけで済んだものの、適合しない人間が使おうとすると能力が暴走し、最悪の場合死に至る。
A-chipは適合者の元に現れる、なんて説もあるほどで、ラウールは16歳にしてA-chipに「選ばれた」人間なのである。
iw「突っ込まれなかったの」
fk「住み込みの事は突っ込まれたけど、濁したら深くは聞かれなかった。あいつなりに察したんじゃない」
住み込みで仕事をするのは国から監視されているから。A-chipと適合した危険人物を野放しにしておく訳にはいかないから。
第零班という檻で、一生飼い殺すため。そんなこと、16歳に言える訳が無い。
iw「……家族の事は」
fk「言ってない。言える訳無いだろ」
iw「まあ……ね」
第零班に入った事は国が家族に説明してくれる、なんて嘘。本当は死んだ事にされるのだ。
だから今頃ラウールの家族も、友達も、みんなが悲しみに暮れているだろう。
16歳にこんな現実を伝える度胸は、深澤には無かった。
fk「いつか言わないといけない日が来るんだろうけどね」
iw「……その時はその時だ」
深澤は煙と共に大きなため息をついた。
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怜(プロフ) - いきるちゃんさん» コメントありがとうございます! そう言って頂けてとても嬉しいですありがとうございます! 書けば書くほどシリアスになっていくんですけど…笑 どうか最後までお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年5月18日 23時) (
レス) id: e493e73fbb (このIDを非表示/違反報告)
いきるちゃん(プロフ) - はじめまして！今の生活で1番楽しみにしている事がA-chipを読んでいる時間といっても過言ではありません！当方宮舘担なので、もう湧きまくりですよ(いいため息)こういう役どころのドラマとか現実でも来て欲しいと思ってます笑 これからも更新楽しみにしております (2020年5月18日 21時) (レス) id: 0fef891ab6 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - さなさん» コメントありがとうございます! そう言って頂けると凄く嬉しいです! 今後ともよろしくお願いいたします! (2020年5月15日 17時) (レス) id: e493e73fbb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 祐莉さん» コメントありがとうございます! あの2人にはいろいろあります、今は何も言えないですけど() ありがとうございます、これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月15日 17時) (レス) id: e493e73fbb (このIDを非表示/違反報告)
さな - とても面白くて読むのが楽しいです！これからも頑張ってください！応援してます！これからも！ (2020年5月14日 23時) (レス) id: 40c01c4cba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年5月10日 16時
