隣で見つめる貴方の笑顔 ページ4
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３時限目 飛行術
今日は２年生と３年生で合同授業
ペアは必ず他学年と組むようにと先生から言われた
よく先輩後輩として仲を深めていないNRC生は
この授業はどうしても苦手なそうで、皆その場で突っ立ったまま
僕の方はというと
「Aさん……！僕と一緒に飛んでくれますか……？」
「アズールくん。あぁ、いいよ」
今日以上のチャンスはないだろうと
先輩のAさんに声をかけた
Aさんは優しい笑顔で、僕のお願いを聞いてくれた
ああ、扱いやすい
「先にどっちが飛ぶ…？」
Aさんが質問した
いつもの僕なら失態を見せたくなく
ここは相手に先に飛んでもらうが
そんな行動をしたって僕の元へは来やしない
「……実は僕、飛ぶのが苦手で……」
「ああ、噂で聞いたことがあるよ
アズールくんと副寮長のジェイドくんは飛べない人魚だって」
「………そ、そうでしたか……
それで………」
僕はAさんに迫る
上目遣いでAさんを見る
「教えていただけませんか……？」
「うん、いいよ」
早速、僕は箒に乗り、
いつも通りに飛んでみせる
今日もいつもと変わらずに低飛行で
「……この通り、僕は全然飛行できず………
…Aさん？」
僕の飛行を見たAさんは
腹を抱えて俯いていた
こんな時間にお腹でも痛めたのだろうか
それなら今すぐ保健室に………
そう思い
僕はAさんに体調を聞き出そうとした時
「アハハッ………！
アズールくん、本当に飛べないなんて……！」
「なっ、そんなに笑うことあります……！？」
「だって…！なにもかも完璧だと思ってた寮長が……！
ンフフッ………、全然飛べないなんて…！」
豪快に笑うAの姿に
本当なら僕はここで、馬鹿にするな、なんて言っているだろう
だけれど今日は、不思議なことに言葉が出ない
無邪気に笑った笑顔に惹かれたのだろうか
昨日は悪い顔に
今日は優しい笑顔とは違う
本当の笑顔
「Aさんはそんな顔もできたんですね」
「え………？」
「いつもそんな笑顔はしないじゃないですか
こう……花が咲くような……？」
「………えっと、アズールくん、と、飛び方教えるね」
わかりやすく恥ずかしがるAさん
その様子を見れたことに喜びを感じ
今日の飛行術は高く飛ぶことが出来た
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作者名：F . | 作成日時：2024年2月4日 23時
