きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ10)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:489 hit

🐬 ページ10

.

祭りは意外にも楽しいものだった

この町について知れるような物は何一つしてなかったが

美味しい食べ物や、
この町でしか見ることのできない品が揃っている

僕の好奇心が、「楽しめ」と叫んでいる

「ぼ、僕、あれが食べたいです…！」

「ああ、子供は無料だから、食べてくるといいさ」

子供

果たして１７歳は子供と言えるのだろうか

だが、その御蔭でなんでも食べていいらしい

この町は本当に楽しいものだった

「とても、美味しそうです……」

綺麗に光る飴細工

アズールに頼んで食べた物以上に、

僕の手にしている「林檎飴」は光輝いていた

ガブ、と林檎飴にかぶりつく

クロシェットさんの口は小さいんだな

いつもなら一口で食べれるはずのこれを
噛み砕くことはできなかった

「……！
　美味しいです…！！」

「それはよかったよ」

口の中に広がる砂糖の甘味

それに林檎の酸味が混じり合い、僕の味覚に刺激を与える

アズールの料理以上に美味しい物だった

……そうアズールに伝えてしまえば、絞られそうだ

「……この町はね、他の町や島との交流が全く無いんだ」

「そんなことがありえるのですか……？」

「ああ、ありえるから、私達はこの町で生きているんだよ」

「まだ早かったね、難しい話は」と

１７歳相手に、クロシェットさんのお母さんは頭を撫でてくる

照れくさい反面、もっとこの町について知りたくなってきた

…………クロシェットさんには申し訳ないが

もう少し、この町に滞在していよう

「……明日も、どこかに連れて行ってくれますか？」

「……明日は用事があるから、難しいかもしれないね」

「その用事とは、一体何でしょうか？」

「クロシェットの１８歳の誕生日を祝う、この町最大のイベントさ」

.