きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ8)

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🌸 ページ8

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魔法の世界でも、

何年も治らない病状を治すことは難しいらしい

アズールさんが

「自分はまだ学生だからだ」と言っていたが

きっと、大人でも、
どんなに高度な技術を手にしても難しいのだろう

「……ゴホッ……」

収まったし、喉も痛くない

だけれど、咳は止まらない

……いつまで続くのかな

「えっとー、中身が違うジェイドォ？
　んー、なんて呼べばいいわけ〜？」

どこか、気の抜けた声が聞こえ

僕は後ろを振り返る

そこには、さっき対価の話をアズールさんとしていたときに
傍で見守るように立っていた男の子だった

名前は……確かフロイドさん

この体のジェイドさんと顔がそっくりで
双子で、片割れらしい

「やっぱり、ジェイドさんの名前を使うのは気が引けますよね」

「うん、だから名前教えて」

「私は……クロシェットと言います」

「……いわしちゃん」

「いわし……？？」

フロイドさんに言われたように

私はゆっくりと、自分の名前を言う

すると、返ってきた言葉は「いわしちゃん」

魚の名前なんて、私の名前の中には、ひとつも……

「オレねー、知り合いの仲間には全員魚の名前で呼んでんの」

「あだ名……みたいなものですか？」

「そうかもねー」

ケラケラ笑う姿に、ちょっと愛らしさが増す

仲良しだった＿＿＿くんも、こんな笑い方だったな

そんなことを思いだして、私はまたメソメソ泣いてしまった

ああ、イケナイ子だ

「ちょ、きゅーにどーしたの、いわしちゃん」

「すみません、友達の事、思いだして…」

まだメソメソ泣く私の背中を
大きな手で優しく撫でてくれるフロイドさん

温かい………

「ありがとうございます、フロイドさん」

「どーいたしましてぇ、いわしちゃん」

それから数分後、私は泣き止み、
フロイドさんは手を離す

背中を擦られるって、こんなにも安心できるものだったんだ

そう、初めて知ることができた

「そーだ、この学園について教えたげる
　ジェイドとして生きていくんだから、少しくらい知ってなきゃ困るでしょ？」

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