きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:486 hit

🌸 ページ32

.

「……聞いたことがあります、確か………」

「………森を守る精霊が持っているブローチみたいな物です」

「私が持っていた物ですから、よく覚えています」と呟けば
私は、店の鏡越しに、そのブローチを見る

流石に本物は持ってこれなかったか、なんて

このブローチは、本物を模造した偽物だ

それを詳しく、冷静に
私はアズールさんとフロイドさんに伝える

すると、アズールさんの顔色が急変した

「貴方、あの精霊だったんですか……！？」

「………早めに言っておいたほうがよかったですね」

「いいんですよ、驚いただけで……失礼な態度を取ってしまいましたね……」

そんな事ない、なんて言えば、
アズールさんは「それならいいんですけど、」と呟く

私は、この店を詳しく知るために中に入る

薄暗く、明かりをつける物はない

「………クラクラ、します」

なぜか偽物なのに、このブローチに吸い込まれるような

「森に帰れ」と言わんばかりに、頭がズキズキする

「大丈夫ですか、クロシェットさん……！」

「大丈夫、です………」

心がきつく締められ、苦しい………

だけれど、あの時ひどかった喘息よりはマシだが……

………あぁ、これ
「イリューの国」に帰っちゃうな

まだ、この二人と
この町で楽しく過ごしたいのに………

「アズール、さん……！フロイドさん………っ！」

「いわしちゃん、なーに、どうなってんの…！」

「フロイド、冷静に………」

アズールさんは私の手を

フロイドさんは頭を優しく撫でてくれる

あぁ、暖かい

.