きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ4)

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声の主に「どうされましたか？」なんて心配してみると

相手はすごく驚いたように、目を大きく見開くのだった

これはまずい質問だったか？と

ジェイドらしくない焦りを持ちつつ、冷静に
笑って対応してみせた

「その口調はクロシェットらしくないね……入院中になにかあったのかい？」

「……少し、大変なことがありまして……」

「そうかい、それは大変だったね……」

戸惑いつつも、相手は僕と丁寧に話す

この口調は、いつものクロシェットさんの口調ではないのか

そしてそれを知るこの人は、一体誰なのだろうか

友達なのだろうか……？？

「家に帰ろう……話はそれからだよ」

「家……？」

「ああ、クロシェットが好きだったシチューを食べよう」

ピンときた

この方の言っている事

この方はクロシェットさんと家族だからこそ言えるような単語を並べている

「……おかあさん？」

間違っていたらどうしよう

ただクロシェットさんのことをよく知っている友達だったり
クロシェットさんの母親と仲がいい大人の人だったりしたら

ただただおかしい人間になってしまう

「…ああ、クロシェットのおかあさんだよ」

僕に笑いかけてくれる

温かみが、伝わるその表情

クロシェットさんが愛されていたことを深く知れた

「もうすぐで家だよ
　疲れてないかい？」

「はい、大丈夫です
　心配ありがとうございます」

口調がおかしいのは、僕が話す敬語なのだろう

「いつもの口調」とやらを知れるまでは、もう少しこのまま

この口調で過ごさなければならない……

いや、すべてを話してしまえば大丈夫か

でも、「入れ替わり」という事実を
魔法の使えない人々は信じてくれるだろうか

いや、魔法の存在自体は知っているはずだ

きっちり話せば、なんとなくでわかってくれるはず……

そう信じたい

「おかあさん、家についたら、話したいことがいっぱいあるんです」

「いいよ、たくさん聞こうじゃないか」

「……絶対に、驚かないでくださいね」

「ああ、約束しよう」

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