きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ26)

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🌸 ページ26

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「………クロシェットさんは、どこに住んでいたんですか？」

ふと、アズールさんがそう言った

その言葉に、
今まで忘れようとした家族のことを思い出し

泣いてしまった

あぁ、本当に私は泣き虫だ

そんな自分が情けない

「……無理そうでしたら、別の……」

「イリューの国で日々を過ごしていました
　………病気で、ずっと病院の中でしたけれど……」

「………いりゅー、？どこそれぇ……」

自分の国の名前を思い出す

確か………なんて首をかしげて発言すれば
フロイドさんは不思議そうに私に向かってそう言った

「フロイド、知らないんです？」

「は？アズール知ってんの？」

「えぇ、知っていますとも
　「綻びの伝説」に記されている国名ですよ

　昨日、それに関してのレポートを書くよう言われまして調べたんです」

「あー……オレサボってたやつじゃん………」

アズールさんは、「イリューの国」についてお話してくれた

とても小さな場所の事

森を守る精霊と、人々に愛されている皇女が手を取り、
国を守り平和を呼んだことや

今はもう
その歴史を古く感じる人が多く

どの教科書にも載っていない国なんだとか

アズールさんが言っていた事すべて
私が知っている内容とほぼ完全に一致していた

「……アズールさんの言った通りです」

「まさか、イリューの国に住んでいる方にお会いできるなんて、光栄です」

「あー、アズールなんか企んでる顔してるー」

「なっ、そんな顔してませんし何も企んでいません」

言わなければ

ここで私の正体を言わなければ

今がチャンスだと

私は口を開く

「実は、私
　「イリューの国」の「森の精霊」なんです」

「え、それ本当なんですか……？？」

「はい、本当です」

そして私が、その皇女と手を取り
国を守ったのは私だとは言えなかった

流石に、疑われそうだと思って

次の言葉が出せなかった

「驚きました……あのときの精霊から
　もう残りの精霊は全滅したと聞いたんですが………」

「すっげ〜！いわしちゃん、いわしちゃんじゃねーじゃん！！」

「あはは………」

何も言わなければ、いいよね………？？

「………眠たくなってきました」

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