きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ24)

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「はっ……！」

目が覚める

もうここは夢の中ではないことが
寝る前に見た綺麗な物置を見て確信した

………あの夢見た景色が

昔クロシェットさんが体験した物であるならば

皇女の座は、元々はシェルーンさんの物であり
クロシェットさんはただの一般人………

あの二人は見る限り、６歳くらいであった

６歳から１７歳の１１年間で
一体なにがあったのだろう

「……この屋敷の中で知っている人もいなさそうですし……」

唯一、僕のことをクロシェットさんの名前で呼んでくれた人がいた
それはお母さん

だが、当分の間、
なぜか僕はこの屋敷の中で過ごすことになるらしく

１，２ヶ月は会えないそう

………遅すぎる

１日でも早く、賢者の島
ナイトレイブンカレッジに帰らなければいけないというのに……

「シェルーン、昨日見せることができなかったプレゼントを見せよう
　お父さんについてくるといい」

「はい、お父様」

お父さん、と名のり
僕のことをシェルーンと呼ぶこの人も

きっと当てにならない

さっさとプレゼントを見て
お母さんに会う方法を探そう

(そういえば……シェルーンさんが僕を認識し、話しかけた……)

決して、夢の中で相手は話しかけないことはないが

―『お兄さん、早く帰ってね』

あの言い方、きっとこちら側で起きている状況を
まるで理解している様子

そして、彼女の表情

笑っているように見えるが
内心、僕のことを嫌っているような

そんな、黒い感情が隠れた
読みにくい表情

アズールの元で生活していなければ
気づかない点だった

「いらない物があったら言うがいい」

「どうするおつもりですか？」

「捨てる」

なにもない海に住んでも
同じようなことが言えるのでしょうか

……お金持ちの人は物を大事にしない身分なんでしょうか……

カリムさんは例外そうですね

「捨てるなんて勿体ないです
　全部私の大切なものですよ」

「そうか、なら全部持っていけ」

と、山積みになっている大きな箱から小さな箱まで

近くにいたメイドに持って行かされる

………この体にクロシェットさんの魂が返ってきた際に
喜んでもらえる部屋にしたいところですね

部屋やら

なにかをコーディネートするのは得意だ

確か、クロシェットさんはひらひらしたような
可愛らしいものがお好きだったはず

「……楽しみですね」

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