きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ16)

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「皇女殿下だ……！！皆、礼をしろ…！！！」

僕が広場に集まると、そういい
一斉に頭が下がる

少し怖いくらいだ

「頭を上げてください、そんなに礼儀正しくしないで……」

「お優しい………皆、感謝せよ！！」

「おやおや……」

今のクロシェットは全くの別物

僕であるからこそ、そう振る舞われたくないのに
何を言ってもダメそうだ

諦めよう………

「クロシェット、体調はどうだ？」

「……大丈夫ですよ」

こちらに来たお父さんに、またもや体調を聞かれ

僕は恐る恐る、

お母さんの僕とクロシェットさんの喋り方は似ている、ということを信じ
返事をした

本当に似ているのか

お父さんは僕を疑わずに、「そうか」と一言残し
この場を去っていった

………本当に、クロシェットさんのお父さんなのか？

と、冷たい一言を残し去っていった者の評価をしてみるが
僕のお父さんもそんな感じだったか、なんて

ちょっとどうでもよくなってきた

そして、目の前に出される…

きっと誕生日ケーキなのだろう

大きく、そして綺麗に着飾ったケーキが３つ……５つ……

とにかくたくさんある

ハーツラビュル寮の、何でもないパーティーのように

「クロシェットが好きだったのは、確かいちごがたくさん使われたホイップケーキだったねぇ……」

お母さんがそう呟いた

きっと、中身が違う僕が
疑われないように、そうアドバイスしてくれたのだろう

……こんなにたくさん食べられるだろうか

とにかく、お母さんがそう呟いたことで、目の前に置かれた
大きな、いちごののったホイップケーキにスプーンで取り

口に運ぶ………

「美味しいです……！」

「だろう？」

目を輝かせて、僕はこのケーキの感想を言う

いくらでも食べれてしまうこの味

ラウンジでも何回かケーキフェスをしたが
この味に辿り着いた日はなかった

この町があまり知られていない理由が
もっとわからなくなっていく

「幸せです……」

「それはよかったよ」

ほっぺが落ちてしまう

なんて、陸で使われる比喩表現を使っては
お母さんに笑顔を見せる

お母さんは僕の笑顔を見た際、

またにっこりと、笑い返してくれた

「皆さん、私の誕生日を祝ってくださり、ありがとうございます
　たくさん、楽しんでください」

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