きっと僕達『偶然』なんです。 【ジェイド】 前篇

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息切れ


今の僕には、そのような症状はない

もしかすると
クロシェットさんが持っている症状なのだろう


入れ替わったら、その症状も入れ替わるのか


……彼の質問に、僕は答えられない


こんな大変な物を背負っているのなら
教えてくれればよかったのに、なんて思いながら


自分でもっと調べなかったのも、詰めが甘いところだ













「今日は症状も安定しているようなので
　安心して外に出て遊べます」

「わかった、もしなにかあればすぐ言うように」

「はい」











お母さんがかわりに状況を説明してくれた



よかった、怪しまれずに済みそうだ




その後、お母さんに手を引かれ、
静かで、広々とした野原に行く











「……きれいなところですね」

「だろう？
　……さっきは悪かったね、私が話してないのがダメだった」

「いえ、お気遣いなく
　話す余裕がないのも、理解できます」













本当は教えてほしかったが

いきなり愛する子供の魂が目の前にいないのだ

無理はない



それに、今さっきは助けてくれたのだ
感謝でしかない



……もしかすると

息切れというのは、あの日看護師さんが「喘息気味」と言ったものと
同じものなのだろうか

今度調べてみよう











「……お前さんは本当に、クロシェットと似ているね」

「おや、そうでしょうか」

「ああ、喋り方に身のこなし方……
　本当に入れ替わっているのか、疑ってしまうよ」

「そうですか……」











別に、クロシェットさんを演じているわけではない


今までのジェイドで生活している



それなのに、お母さんは
僕とクロシェットさんを「似ている」と言う


クロシェットさんがどんな人か、なんて
もう聞く必要はなさそうだ












「さあ、町の人がお前さんを待っているよ
　早く行こう」

「はい、おかあさん」

















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