きっと僕達『偶然』なんです。【ジェイド】前篇 (ページ14)

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「この方……クロシェットさんの誕生日……最大の……？」

「ああ、そうだよ」

少し理解し難い事を言われた

人一人の誕生日を祝うために
わざわざイベントを開催させるだろうか

スカラビア寮のカリム・アルアジームさんならやるだろうが……

小さい町だからかもしれない

いや、他の小さな町でも
この町のように人の誕生日をイベントという形で祝うなど
聞いたことがなかった

「……誰かの誕生日にイベントを……？」

「そんなわけないさ」

「では、なぜ……？」

「クロシェットは、皇女だからさ」

皇女

何度か聞いたことがある単語

クロシェットさんは、すごい人なのだろう

僕と同じ、年なのに………

「ああ、驚かないでおくれ、お前さんはなにもしなくていい」

「そういうもの、なんですか……？」

「ああ、全ては貴方のお父様がしてくださるから」

クロシェットの父親

どのような人なのだろうか
少しだけ楽しみだ

町に出れば、みんな僕に注目する

クロシェットさんの容姿は、それは綺麗で
人気があるのもわかる

「皇女様……！お目にかかり光栄です」

どう反応していいのか
どう返事をしていいのか分からず

僕は小さくお辞儀をする

ある、大きなお城の中に入っては

一人、大きな体格の男の人に名を呼ばれる

「……大きくなったな、クロシェット」

僕はクロシェットさんの仕草や口調なんて全くわからないものだから

下手に喋れば怪しまれる

僕がクロシェットさんと入れ替わった事を知っているのも、信じてくれたのも
クロシェットさんのお母さんだけだった

きっと、この人達はそんなこと、信じるわけもないだろう

説明ももう面倒くさい

隠し事は得意な方だ
黙っていればいい

僕は彼の言葉に、静かにお辞儀をした

「今日はお前の誕生日を祝う
　好きなように食べ、遊べ」

彼はクロシェットさんのお父さんにあたるそうだ

「それじゃあ、クロシェットは私と一緒に楽しもう」

「……はい」

お母さんが助けてくれるように、僕の手を引っ張って
外に連れ出そうとする

別に、僕一人でなんとかできるが
まあよしとしよう

だが、それを許さない彼はこう言った

「そういえば、いつもの息切れはどうしたのだ？」

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