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ページ49

ランス.side

小さい頃からAを見てきたオレは、大体の事が分かる。

それこそ、彼女の家庭環境が、あまり良くないこととか。

家族の話をすると、Aはいつも、悲しそうな目でオレを見た。

そんなAに、オレは共感した。

オレも、妹がいなければ、まともに人生を歩めなかったかもしれないからだ。

Aは、父親から疎まれ続け、呪いの様な言葉を浴びせられ続けたと嘆いていた。

もしそれが本当なら、オレがすぐに、消してやるのに。

辛い思いをしてきたはずなのに、Aは笑っていた。

まるで傷一つ受けていないように振舞っていた。

そんな現実とは真逆の、幸せな世界があるとすれば、そこで永遠に二人っきりになりたい。

Aにとっては、オレと花火大会に行くことが、幸せな夢かもしれない。

―――――――――――

オレは後悔しながらも、Aの隣を歩く。

もし彼女を、その境遇から救えていれば、オレたちは結ばれたかもしれない。

そんな後悔を抱えながらも、空っぽのまま成長した。

なぜだか分からないほど、泣きたくなって、けどそれを我慢した。

もし今、泣いてしまえば、Aも悲しむから。オレはそれが嫌だ。

『ねぇ、ランス...今年の花火は特段綺麗らしいよ。早く見たいね。』

神社に行くために、長い長い階段を上っている時に、Aが話しかける。

その言葉を否定しかけたが、オレはぐっと堪える。

花火が早く打ち上れば、その分、早く終わってしまう。

終わってしまえば、オレたちはもう...

ラ「...嗚呼、そうだな。」

それだけ言って、顔をそむけた。

ふと、Aの手がするりと抜け、手を繋いでいたのがほどけた。

Aははしゃいで、オレより前に走る。

すると、境内の方を指をさして『もう少しだよ!』と言って笑った。

オレは途端に怖くなった。Aに触れられなくなりそうで。

水に浮かんだ月も、鏡越しの花火も、どれも触れられないように。

それなのに、触れられないのに、オレはAを探してしまう。

ラ「...慌てるな、転んでしまうだろ。」

すぐにAがまた、オレの手を握る。

今度はしっかり、離さないように手を繋いだ。

少しは安心し、頭を冷やすことができたオレは、諦めの決心がついた。

会うのはこれで最後だ。そして、オレの恋も、これで最後なんだと。

丁度、オレたちが境内についた頃、花火が打ちあがった。

・→←夢のまた夢/まふまふ 【ランス・クラウン】※現パロ&妖怪パロ



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あき(プロフ) - 夢野みぃさん» ありがとうごさいます! (5月4日 0時) (レス) id: 6a224cc54b (このIDを非表示/違反報告)
夢野みぃ(プロフ) - あきさん» リクエスト有難うございます!2の方に作っておきますね!それまで少々お待ちを...! (5月4日 0時) (レス) id: f4c9af3806 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - すみませんリクエスト良いですか?きゅうくらりんハッピーエンドバージョンが見てみたいです!出来れば作ってくれませんか? (5月4日 0時) (レス) @page16 id: 6a224cc54b (このIDを非表示/違反報告)
夢野みぃ(プロフ) - ルリーナさん» コメントありがとうございます!!喜んでもらえて何よりです! (3月30日 21時) (レス) id: f4c9af3806 (このIDを非表示/違反報告)
ルリーナ(プロフ) - セル最推しとして嬉し過ぎます!ありがとうございます!最高です! (3月30日 20時) (レス) @page42 id: abd4cb76f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:9xwEvJ187ghD0yu | 作成日時:2024年3月7日 23時

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