・ ページ27
A.side
あれからオーターに痣が発現した。
すぐにオーターは引き取られた...警備隊に。
もちろん私もオーターも反対した。この国の警備隊は最悪とよく聞く。
魔法が使える者しか入れないそこは、暗殺や隠蔽工作と...国の為なら何をしても厭わない連中だ。
オーターは、弟のワースを人質に取られたせいで、警備隊に入らざるを得なかった。
私はというと、それから何年もの間、施設にいたけど、痣は出なかった。
『ここに居させてください』と、何度も懇願した。
今どこにいるかもしれないオーターを思いながら、昔を思い出す。
この檻の先には、温もりと愛があるって、あの頃の私達はそう信じていた。
何回、そんな夢を見たっけ。オーターはとっくの昔に諦めているだろうなぁ。
『...けど、私は違うよ、オーター。』
彼が残してくれた設計図を頼りに、飛行船を作った。
ここから出るため、そんな馬鹿みたいな空想を叶えるためだ。
―――――――――――
私は、脱獄を決行した。
時刻は夕方、警官たちもいる中での決行だ。
もちろんその警官の中には、オーターも含まれる。最後の姿を、見てもらいたいから。
『...ふぅ、そろそろか。』
私はわざと警報ブザーを鳴らして、警官を呼ぶ。
飛行船まで少し距離がある所で、だ。
オ「...何の真似だ。」
昔のオーターとはすっかり変わっていて、そこに笑顔なんてなかった。
目隠しをさている。きっと、洗脳の一種だろう。
仲の良かった友人だというのに、私に杖を向ける。
そんなオーターに気にも留めず、ナイフを投げる。
彼の目隠しが外され、その目が見える。ぐるぐると渦を巻いている瞳が私を捉える。
『この脱走劇を、しかと目に焼き付けときな！』
そのまま背を向けて飛行船まで走った。
オ「...チッ」
もちろんオーターは私は追いかける。
気にも留めずに、飛行船に乗る。
すぐにコードを上げて飛ばす。警告を告げるブザー、止まらないエラーランプ。
だけど私は、顔色一つ変えずに、笑った。
エンジンがヒートして、機体が壊れそうになった。
けれど気にしないくらい、この大空を見ることができたんだ！
それだけで、私は幸せだ。
ねぇ、オーター、君が大人になっても、私は構わないよ。
けれど私は、子供のままでいいよ、こんなに綺麗な空を見られたんだから。
あの時の夢を、私に話してくれて、ありがとう。
・→←脱獄/Neru様 【オーター・マドル】※オリジナル強め
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あき(プロフ) - 夢野みぃさん» ありがとうごさいます！ (5月4日 0時) (
レス) id: 6a224cc54b (このIDを非表示/違反報告)
夢野みぃ(プロフ) - あきさん» リクエスト有難うございます！2の方に作っておきますね！それまで少々お待ちを...！ (5月4日 0時) (レス) id: f4c9af3806 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - すみませんリクエスト良いですか？きゅうくらりんハッピーエンドバージョンが見てみたいです！出来れば作ってくれませんか？ (5月4日 0時) (レス) @page16 id: 6a224cc54b (このIDを非表示/違反報告)
夢野みぃ(プロフ) - ルリーナさん» コメントありがとうございます！！喜んでもらえて何よりです！ (3月30日 21時) (レス) id: f4c9af3806 (このIDを非表示/違反報告)
ルリーナ(プロフ) - セル最推しとして嬉し過ぎます!ありがとうございます!最高です！ (3月30日 20時) (レス) @page42 id: abd4cb76f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：9xwEvJ187ghD0yu | 作成日時：2024年3月7日 23時
