【d!】お願い、僕を見て【ci】

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「こんな事され続けてもまだ好きとか、不思議だよねぇ」
「それは俺のセリフなんやけど。彼氏欲しいなーとか思わへんの」

ほんの数年前まで私に好意を抱いていた親友からこの疑問がぶつけられるのは当然だと思う。もしかしたらこの人と幸せになる未来だってあったかもしれないのに、それを潰したのは私自身だ。

「チーノが彼氏だったらいいのにとは思うよ」
「何回もフラれてるのに？」
「…そうだね」

チーノには決して見せられない泣き顔も、ショッピには何度も見せている。
今はただの大親友として私の不毛な恋路を見守って応援してくれている彼には甘えてばかりだ。

「ていうかあいつのどこが好きなん？」
「どこって…」

優しくて意地悪なところ。誰よりも私のことを理解してくれているところ。特徴的なあの笑い声で屈託なく笑うところ。友人を大切にするところ。

私の事を切り捨てないで、最後には優しくしてくれちゃうところ。

いくつか思う浮かべたところで、どうしてだか急に涙が溢れてきてしまった。アルコールも手伝っているとは思う。自分の意思とはうらはらに、涙がほろほろと勝手に頬を伝って止まらない。どうしよう、またショッピに迷惑をかけている。面倒くさい女でごめん。

とめどなく流れる涙をなんとか止めようとしていると、ショッピは何も言わずに空き缶が並ぶローテーブルを部屋の隅に寄せ、勝手知ったる我が家のように来客用の布団を２組出して電気を消した。

「今日はもう寝よか。明日なんか甘いもんでも食いに行こ」

後ろ乗せたるから少しバイクで走るのもええな、と優しく声をかけてくれながらポンポンと軽く頭を撫でてくれる。

普段はショッピとチーノがそれぞれ使っている布団をわざわざ出してきたということは、今日は自分のベッドじゃなくこっちを使って隣で寝ろ、ということだろうか。

大人しく、ショッピが寝転んだ布団の隣に敷かれているそれにいそいそと潜り込む。彼の方を向いて丸くなると、天井を見つめたままのショッピの左手が探るように私の布団に入って来た。
そのままもそもそと私の右手を探り当て、軽くきゅっと握られる。

「ショッピってまだ私のこと好きなの？」
「…これっきりやって、あの時言うたやろ」

そっと遠慮がちに指が絡められた。また1つ秘密が増えたのかもしれないと思いつつ、際限なく私を甘やかしてくれる大好きな親友の左手から伝わってくる温もりと優しさに頼るのをやめられなかった。

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