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2年生の秋。この時チーノには彼女がいて、しかも今までにないくらい特に束縛の激しい子だったせいで彼が私の家に来る頻度はこれまで以上に減っていた。当然3人で遊ぶことはあるけれど、その回数も以前よりは少し減ってしまった。
この日も3人でゲーセンでひとしきり遊んだ後、チーノは鳴りやまないスマホの通知と共に彼女のもとへと向かい、残された私とショッピは私の家で宅飲みすることにした。
道中のコンビニでお酒とおつまみになるものを買って、ビニール袋をガサガサと言わせながら部屋に入る。最近少し寒くなってきたからと導入した炬燵はどうやらショッピのお気に入りらしかった。
「あ〜、炬燵ぬくいんじゃ〜」
「それはよかった」
缶チューハイのプルタブを引いてカシュッという心地いい音を鳴らし、おざなりの乾杯をして中身を煽る。別にそんなにお酒に強いわけではないけど、アルコールの作用で地に足がついていないような、浮ついた感覚になるのは好きだ。
「Aさ〜」
「うん?」
ショッピも私も、程よくアルコールが入って若干ふわふわとした口調になってきた。
「まだチーノの事好きなん?」
「え…うん、好きだよ。すごく。」
こんなに不誠実な事されてるのにねぇと言うと、わかってるやんけとデコピンされた。結構痛い。
そう。恋愛において、チーノからかなり不誠実なことをされている自覚はあるのだ。
20歳にもなればさすがにわかる。
成人式も一緒に行く約束をしているが、きっと小中学校時代の人達に今の関係を見られたら哀れまれるだろう。初めて告白してから9年。フラれた回数は3回。きっとこの年数も回数も増えるばかりだ。
告白の返事はいつだって同じ。Aの事好きかわからんから保留にしておいてほしい。俺がそこらへん分かるまで待ってて。
他の告白してきた女の子とは好きじゃなくても付き合えるのに、私だけはだめらしい。酷い男だ。
そのくせ、第2ボタンやネクタイはくれるし、他の男子にあげようとしたカップケーキは奪う。自分以外の男に手料理を食べさせるは嫌だというのはショッピも該当するらしく、3人でいる時に手料理を振る舞ったことはない。
私に対してよくわからない独占欲のような何かを垣間見せる癖に、恋人にだけはなってくれないのだ。
ずるい。
これだけ私を夢中にさせておいて、彼はふらふらどこかへ行ってしまう。気まぐれに私を傷つけて、その分だけ優しくしてくる。
きっと一生チーノに敵わないし、この恋も叶わない。
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薄暮(プロフ) - とてもこの作品に心を打たれました、感謝です!Twitterの方フォロー申請を送りましたがDMが送れずましゅまろに送らせて頂いたしろくれです。ご確認頂ければ助かります。 (7月19日 1時) (レス) id: 5d47810ff6 (このIDを非表示/違反報告)
える@脅威推し - かれんちゃん・・・あつ森・・・ヴッ 頭が (2022年4月19日 16時) (レス) @page14 id: 68204072c5 (このIDを非表示/違反報告)
牛タン(プロフ) - じばくとっこうたいさん» コメントありがとうございます!私自身、書きながらなんでshpくん報われないんだ?と思っていました。ナンデヤッ。これから番外編でshpくんサイドのお話を少し書こうと思っているので、そちらもお楽しみいただければと思います! (2022年4月14日 20時) (レス) id: ddd9b490a0 (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - 遅くなりましたが、完結おめでとうございます。更新される度に、いつもワクワクしながら読ませていただきました。夢主ちゃんとciとの関係も好きですが、やっぱり私はshp君を推したい…と悶えてました。本当に大好きです。次回作も楽しみにしています! (2022年3月23日 18時) (レス) @page32 id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
牛タン(プロフ) - スイさん» コメントありがとうございます!思わせぶりなciくんも、一途な夢主も、お互いがお互いのことをずっと好きだったんじゃないかなと思いながら書きました😊大好きと言っていただけてとたも嬉しいです!お付き合いいただきありがとうございました! (2022年3月23日 1時) (レス) id: 08f70284ce (このIDを非表示/違反報告)
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