9人の王子様との恋、いかがですか？ -in summer-

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カチ、コチと時計の針の音が

部屋に響き渡る。









目の前にいるのは大貴なのに、

何故か気まずい。









.









「…っ、…だ、大貴!」









勇気を出して呼びかけた名前。









.









大貴「……なに。」









.









揺れる黒い瞳。

顔色を変えない大貴。









……何を思っているんだろう。









.









「あの、怒ってる……?」

大貴「……なんで?」









「いや、その……」









.









とても長い沈黙。

どうしても表情が読めない。









なにか話題…

なにか、なにか……









.









「かっ、かくれんぼ!」

大貴「え?」









「かくれんぼしない!?」

大貴「はぁ?」









.









話題話題と考えて出てきたのが

何故かかくれんぼ。









大貴は目をキョトンとさせて、

いつもより黒目が大きく揺れている。









.









大貴「いや、何で急にかくれんぼ?」

「そ、れは…」









大貴「しかも暑いし。いくら室内でも…」

「ひっ、久しぶりにね!……うん!」









.









どもる私に

呆れた様子の大貴。









大貴は面倒くさそうにふわふわの髪をかいて

はぁ、と侑李と同じように息を吐いた。









.









大貴「じゃあ、勝ったら何かしてくれるわけ?」

「何か……ってなに?」









大貴「何かだよ。……一回だけだからな。」

「う、うん…!」









.









な、何とか受け入れてくれた…

よかった……









.









大貴「あと、隠れるのはお前だから。」

「えっ!?」









.









大貴「文句言わない。

ほら、10数えるから早く隠れろ。」









「あっ、はい!」









.









急かされるように私は部屋から出ていき、

同時にまた聞こえてきた大貴のため息。









.









大貴「何で急にかくれんぼなんか…」









.









……ごめん大貴。

むしろ私が知りたい。









.









「はぁ…」









.









私も自然と大貴のようにため息が零れて。

何でかくれんぼなんか思いついたんだろう…









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