9人の王子様との恋、いかがですか？ -in summer-

■Keito.O ページ1

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”アイツ、ムカつくよね”






それはたった一言で始まった。

自分が標的になるなんて思いもしなかった。




目立つわけでもなく地味でもない。

そんな私がまさか……それが本音だった。






無視されるようになり、物がなくなるようになり

それはあっという間で





自分の存在意義がわからなくなった。






なんで生きてるの?

なんで頑張ってるの?






夏休みももう終わる。

そうすれば二学期が始まる。






気づけば私は自転車を漕ぎ出して

それを乗り捨てれば








立っていたのは防波堤の岸壁だった。







青い海。そして、白波。

今日は天気がいいように見えて意外と海が荒れてるんだ。








都合が良かったのかもしれない。






あっという間に知らぬ間にこの世から消えたしまいたい。





瞼を閉じて海に飛び込んで

今までの人生を振り返る。




なんで生まれてきたのかな?

私は誰に望まれて生きてるのかな。






青い光に包まれながら自問自答を繰り返して

薄っすら見える光に意味もなく手をのばしたら








その手が何故かぎゅっと包まれたの。









そして、そのまま引き上げられて……








「大丈夫?」









筋肉質な体。

私は男らしい腕に抱きかかえられていた。









「確か、貴方……」

圭人「ん?俺のこと知ってんの?」









有名進学校でクラス数も生徒数も多いとこだけど

目立たないわけがない。




金髪がトレードマークで最近転入してきた人。









「岡本……さん。」





圭人「なんで敬語になってるの?
　 俺、そんな威圧感与えてるかな?」






「いや……話したことないので。
　というより何で……」









助けたんですか?

助けてほしくなかった。





未来なんて一秒たりとも望んでなかったのに……









圭人「ごめんね、余計なことしちゃったみたいだね。」









何も悪いことはしてないのに

悪いことをしたのは命を無駄にしようとした私なのに

その人はそう言って








私を防波堤に下ろすと自分のパーカーを

肩にかけてくれた。



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