永き神話の果て ページ26
恐る恐るもと来た道を振り返ってみると、確かに道の幅が狭くなっている。
あの広さでは大人が中腰に屈んで一人ずつ通るのがやっとだろう。
それに見る間に岩壁がせり出していき、どんどん道幅は狭くなっていく。
では次は僕の望みとやらをこのドラゴンに告げねばならない。
望み……なんて言われても……
「ここから出て、外に行きたい……すぐそこの国に入らないといけないんだ」
「なるほど、よかろう」
蒼竜は頭をもたげ、真上を向くと大きく顎を開き────
ブレスを吐き出した。
竜と言えばブレス。ブレスと言えば竜。
それは超高濃度の魔力を直接吐き出す竜特有の身体技術であると唱えた学者がいたが、未だ詳細は明らかにされていない。
ただAにわかるのは、あれに当たったら確実に即死どころか消滅してしまうだろうということだけだった。
天井から洞窟内へ光を誘導していた鉱石の層は完全に蒸発しており、その上にあった湖の水ですら蒸気へと変じている。
遅れて、ブレスの直撃を免れた水が空気中に虹を描きながらゆっくりと降りてくる。
一人と一匹の頭上には朝日に照らし出される空が広がっていた。
「う、わ…………すごい……」
こんなに、あっさり……絶対無理だって諦めてたのに……
「ふむ、それで人間共の国へ行くのだったか……ならば俺のこの格好では目立つだろうな」
そういうと蒼竜の体から光の粒子が昇っていき、みるみる内にその巨体が小さくなっていく。
するとそこに現れたのは一人の人間ではないか。
背丈は平均的な人のそれより高く、鍛え抜かれた肉体は鈍く輝く鎧に覆われている美丈夫だ。
蒼い髪はオールバックにまとめられており、抜けるような空を閉じ込めた深い瞳をしている。
「そういえばまだ名を告げていなかったか、俺はアスール
つい最近までこの辺りの守護を任されていたが……まあ貴様が新たな契約者ということだな」
蒼の守護竜。
誰でも知ってる昔話に出てくるドラゴンだ。
つい最近て、僕の知ってる話だと守護竜が眠りについたとされるのは2000年くらい前だった気がするんだけど……
ていうか僕契約者になったの……?望みとやらを言うと契約が成立するの……?
「で、貴様の名は何という?」
「あ……A、です」
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます!とっっっっっっっても嬉しいです!!!続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います!あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります! (2021年3月25日 23時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫((うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます!これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします! (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫((うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます!あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あああああ | 作成日時:2019年4月21日 20時