3話 嘆息 ページ9
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それからというもの、Aの生活は劇的に変わった
────ということは特になく、以前と同じような日々が無為に空費されていく。
ただ少しだけ、Aの世界が色づいたというだけだ。
このマーカスという男、
Aの仕事が終われば即座に浴室へ連れて行き、
Aが目を覚ませば朝食を手に即座に飛んでくる。
そしてただ柔らかな笑みを湛え寄り添うのだ。
Aは不思議でならなかった。
マーカスはいつ自分に失望してどこかへ消えてゆくのだろう。
彼は最初に綺麗な自分に心奪われたと言った。
確かに“外”へ連れて行かれる時は王侯貴族の令嬢もかくやといわんばかりに飾り立てられる。
だからまあ、そういった装飾品の珍しさに惹かれたのだろうと考えていた。
Aは歪んでいない愛を知らなかった。
幼い頃に両親等から無償の愛を受けていなかった訳ではない。
あまりにも過去の出来事だったので忘れてしまっているのだ。
この現状が濁流となってAを押し流している。
「ねぇ」
君はいつまでここに───────
「いや、なんでもない」
聞けない。
もし彼がいつかここを出ていくつもりだとしたら
その日まで、その日以降も
自分はどう過ごしていけばいいのかわからなかった。
Aは自分が別れを恐れていることに気付いていなかった。
自分が彼を好いていること、彼が自分を愛していること
そのことにAが気付くのはまだ先の話
「なんでもないのか〜、でも珍しいですねAさんから私に声をかけてくれるなんて!
嬉しすぎて向こう一週間は変に張り切っちゃいますよ」
彼は陽だまりの様な笑みを浮かべた。
Aはそっと顔を背けた。
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます!とっっっっっっっても嬉しいです!!!続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います!あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります! (2021年3月25日 23時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫((うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます!これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします! (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫((うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます!あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あああああ | 作成日時:2019年4月21日 20時