#4 107回目の拾い物 ページ5
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「一体どうしてこうなったのか、一から説明してもらおう」
怒気の篭もるアルハイゼンの声が、
1人で住むには勿体ないほど広いリビングに響いた
ソファに足を組んで座り、片手には読みかけの本を持ったままのアルハイゼンが視線を向けるのは…
目の前にいる居候の男と、その男が連れてきた見知らぬ小汚い身なりの少女だった
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アルハイゼンside
「なるほど、君は例の事件の被害者だったのか」
知論派と妙論派出身のそこそこ名が知れている学者夫婦とその娘の失踪事件だったため、当然俺の耳にも入ってきていた
少女は怯えた目で此方をじっと見つめていた
「それで、この子をうちで保護したいんだ!」
カーヴェが少女の小さな肩を抱いて、一生のお願いだ、頼むと懇願するのだった
「はぁ……」
呆れのあまり言葉も出てこなかった
カーヴェが何かを拾ってくるのは何も今回が初めてではない
最初は確か羽のちぎれた蝶だっただろうか
それから巣から落ちて帰れなくなった雛鳥
今にも死にそうな野良猫
俺の記憶では、この先輩を家に住まわせてからこれで107回目になる
ついに人間まで拾うようになったか
カーヴェは非常に優れた才能を持っているが、いつもその才の足枷となるのは彼の異常なまでのお人好しな性格と観念だった
「断る、大体俺は一日でも早く君にこの家を出て行ってもらいたいんだ。それがもう1人増えるとなれば、俺のプライベートが無くなってしまう」
それに、この年頃の子供というのは精神的に不安定で扱いが非常に面倒臭い
まるで大きい子供のような大人が既に俺の悩みの種でもある以上、もう手間は増やしたくない
「この薄情者…!君の心は鉄か何かで出来てるんじゃないか!?」
ギャンギャンと子犬のように喚き散らす男を無視して、
その隣に座る少女に話しかける
「君、親戚はいないのか?小さい頃可愛がってくれた祖父母の家を当たるのはどうだ」
「私が生まれる前に亡くなってます」
先程まで騒がしかったリビングがすっかりと静まり返る
「…そうか、ならば両親の知人や友人などは」
少女は目を閉じて首を横に振るだけだった
「母と父は学術研究の成功により同級生から妬まれていたと聞いたことがあります」
どうやら彼女は本当に身寄りが無いらしい
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ぽんかん(プロフ) - はじめまして!カーヴェの夢小説を検索していたら辿り着きました!2人の掛け合いやアルハイゼンも口には出さないけどデレデレな所とかカーヴェに至っては全解釈一致すぎて勝手に握手した気分です!きままに更新していただけたら嬉しいです (2023年4月6日 18時) (レス) @page19 id: d77cfdd6b9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - ももももももつつつさん» わわ、コメントありがとうございます!夢主ちゃんは新しい出会いの元幸せに暮らして貰います(断言) 応援励みになります!頑張ります (2023年2月6日 15時) (レス) @page12 id: 93ec8e272a (このIDを非表示/違反報告)
ももももももつつつ - う、、泣主人公には幸せになってもらいたいですね泣泣泣更新頑張ってください泣泣泣泣 (2023年2月6日 2時) (レス) @page9 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2023年2月4日 22時