#16 甘やかし ページ17
.
数十分後、再び試着室から出てきたA
先程とはがらりと雰囲気が変わり、まるで御伽噺に出てくるようなお嬢様のよう
アンティークな金色の髪飾り
宝石が散りばめられた襟元に赤く透き通るようなシアー調のブラウス
フィッシュテールスカートと呼ばれる前の丈が短く後ろの丈が長い腰布は歩くたびに裾が揺れて上品さとフェミニンさを演出していた
「…君の考えた格好こそ肌の露出が多くて破廉恥ではないか」
その感想は実に真っ当なものだった
「君の性的嗜好に一切興味は無いが、それを同居人に押し付けるなど不埒にも程がある」
「はあ！？いいか、変な下心は持ち合わせていない
……断じて違う！」
金髪の男の頬は赤く染まり、否定する語気は段々と弱くなっていく
どうやらこのコーディネートに自分の好みが反映されてる事には間違い無いらしい
「…？」
まだ色恋のいの字も知らない純粋無垢な少女は会話についていけない様子
まだ弁明の余地があると思ったのか、カーヴェは咳払いをして服選びに込めた意図を早口で語り始める
「女性の柔らかさを引き立たせるためにもスリットは必要不可欠だ」
「それに肌色と衣服の配色バランスがいい方が美しいだろ？Aにはお姫様みたいに煌びやかなスカートが似合う」
なんともまぁ苦しい言い訳で、これにはアルハイゼンもすかさず反論する
「この世にはパンツスタイルのプリンセスも存在するだろう。君の思想は実に古臭くて多様性に欠けている」
堅物書記官の口から″多様性″という単語が出てくるだなんて誰が思っていただろうか
「これだから君のような美とロマンを理解出来ない人間は嫌いなんだ」
大きなため息をついて頭を抱えるカーヴェ
彼には彼なりの美学があり、それは決して誰にも譲ることが出来ない信念なのである
「埒が明かない、ここは本人の意見を尊重するとしよう」
二人の圧がかかった視線の先には、急に話を振られておろおろと慌てふためくAの姿
どちらの提案も蔑ろに出来ない、と慎重に言葉を選ぶ
「えっと、私は…前までこんなに綺麗なお洋服着れなかったから、どっちも嬉しくて決めれないというか」
「ｯ〜〜！」
先程まで狭い店内で醜い言い争いをしていた成人男性二人はぴたりと黙ったかと思えば、結局店内の女性服を折半し全て買い取ったらしい
パンパンに膨らんだ紙袋を大事そうに抱えて歩く少女の後ろ姿を見て、男達の頬は緩んでいたとかいないとか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 308人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんかん(プロフ) - はじめまして！カーヴェの夢小説を検索していたら辿り着きました！2人の掛け合いやアルハイゼンも口には出さないけどデレデレな所とかカーヴェに至っては全解釈一致すぎて勝手に握手した気分です！きままに更新していただけたら嬉しいです (2023年4月6日 18時) (
レス) @page19 id: d77cfdd6b9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - ももももももつつつさん» わわ、コメントありがとうございます！夢主ちゃんは新しい出会いの元幸せに暮らして貰います(断言) 応援励みになります！頑張ります (2023年2月6日 15時) (レス) @page12 id: 93ec8e272a (このIDを非表示/違反報告)
ももももももつつつ - う、、泣主人公には幸せになってもらいたいですね泣泣泣更新頑張ってください泣泣泣泣 (2023年2月6日 2時) (レス) @page9 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2023年2月4日 22時
