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第二章 過去 ページ8

『ママっ!』





『まっ…て』






『まってッ』





過ぎ去る母を追いかけるが少しの段差につまづきこけてしまった





また立ち上がって走ろうと思った





まだ遠くにだが母が見えたから






「…あんたなんて産まなきゃよかった」






まだ5歳だった






だけどその言葉の意味を私は理解してしまったから





進めていた足はポツポツと止まりだしついにはピタリととまった












『…ごめんなさい』






『さよなら…お母さん』





その後は捨てられた場所にずっと座っていた





ずっと帰ってくるのを待っていた






でも来る日も来る日も母は来なくて






雨に打たれて熱も出た






なんだ泣いたかも分からない







『…』






もう二度と私のところに来ないんだ







そう思った時なんだかさっぱりした







諦めがついたって言えばいいのかな?







これからは自分で生きて行かないといけないんだって実感した






だからお腹が空いた時は街に出て小汚いおじさんに頼んだ






くっと歩くおじさんの服を掴む






〈どうしたんだい?〉






〈1人かい?おじさんの家に来るかい?〉






『…お腹空いてるの』





『ごはん…欲しい』





〈わかった。ならこっちにおいで〉





って連れて行かれるのは路地裏で






大体頼まれるのは欲の処理






それをすればご飯がもらえた






その時間は地獄みたいで






苦しかった






だから週に一回くらい






その他の日はゴミ箱でも漁ってギリギリ食べられそうなものを食べた





摺鉢街に戻り寝床






と言っても硬い足の階段の上だが






そこに寝転ぶと今日も生きてしまったんだ






そう思った。

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夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - 猫春#ねこはるさん» 読んでもらえてとっても嬉しいです!舞い上がってますw最初とその後の切り替え凄いですよね、ややこしい事になってしまいすみません…と思いながら優しい太宰さんも怖めな太宰さんも好きなので書いてしまいました (12月24日 21時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - 来世は推しと生きたいさん» ありがとうございます!次回作は芥川さんから一度離れてみようかと思い別の人物に手を出してしまいました。毎作品、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます! (12月24日 21時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
猫春#ねこはる - 取り消します。死ぬほど優しかったです(((今読んでる最中の人 (12月24日 17時) (レス) @page11 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
猫春#ねこはる - 太宰さんが怖すぎて好きです (12月24日 17時) (レス) @page7 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しと生きたい - 完結おめでとうございます!!何度も主様の作品に泣かされました…本当に感動物です。私は芥川推しなのですが,主様の書く原作を保ちながら優しさを少しずつ見せる感じがすごく好きです。あと夢主ちゃんの性格も毎回好きです!次回作も読ませて頂きます! (12月24日 17時) (レス) @page44 id: 3324b2c332 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢幻泡影(むーにー) | 作成日時:2023年10月16日 0時

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