【文スト】芥川さん、私もう…

・ ページ32

カツ…カツ……カツ…カツ




…もう少しで今日の現場に着く






…






『仕事に私情は持ち込んじゃいけない…』






ぱちっと頬を叩いた







さぁ、仕事だ






〈！Aさん、おはようございます〉







『おはようございます』








『今日のはいつもより派手に死んだものですね』








〈はい…どうやら爆弾を運んでいる途中に爆弾の不調により急に爆発したようで…〉







『…となると、ポートマフィアが関わる可能性がありますね』







『この人の身元は？』








〈こちらです〉







ぺらっと見せられる紙








『密輸業者ね…分かった』








ペチャペチャ…






血まみれの地面を踏み進む






焼き切れた服から何かがキラリと輝いた







『…？』






『宝石…ね』






プルルルル…プルルルル







？？「何かあったのかい！？」







『なんともないですよ…太宰さん』






太宰「…ならいいけど」









『太宰さん、いまから送る資料になっている密輸業者を特定しており押さえてください。』






太宰「分かったよ。まかせて」







『ありがとうございます。それでは』





ピッ





遺品の中から肩身を探して少し






カバンから見つけた綺麗なリップクリーム







梱包されているあたりこの人には思い人がいたのだろう








それともう一つ、これもカバンにあった







お守りを、肩身に選んだ







自分の子の職を知らない親御さんも多い






自分の息子が、娘が死んだことを受け入れられない人も多々






…






『肩身が見つかりましたので私はこれで…』





そう言って一礼してから早足でその場を離れトイレに向かった








何も食べていないので吐いたところで胃液しか出てかない







ただあの光景を見るのは慣れなくて辛くて苦しい






靴だって靴についた血を拭くのは私だ






匂いも視覚も全部が私を苦しめる





目が見えなくなって仕舞えばいいのに






そう何度考えたかとか





…






…





暫くベンチでぐったりとした後私はまた歩き出す

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す