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また、迷惑をかけてしまった
太宰さんは…ただ私を思ってくれただけなのに
私が
手を払ったから
私が
怯えてしまったから
ごめんなさい
貴方は何も悪くないの
…
…
…
『あ…』
気がつけば龍之介さんの家に着いていた
ポケットから鍵を出す
少し緊張して
鍵をまわした
家の中は暗くまだ龍之介さんが帰ってきていないことを悟る
リビングの扉を開ける
龍之介さんの家の匂いに安心したようで
久しぶりに寝られそうだから
最近は睡眠薬を飲んで倒れるように寝るのが癖…
と言うか習慣になってしまったから。
…
…
ソファーにかかっていた龍之介さんの服を抱いて横になる
服に顔を埋めるだけなら
甘えるのが苦手な私でも甘えられる気がして
ぎゅっと服を抱きしめて眠りについた
…
…
ガチャ
静かな家に一つの音が響いた
黒い外套には血が滲んでいるようだった
この言葉だけを聞くと、恐ろしい怪物…凶悪犯を思い浮かべるだろう
けれど彼の一つの靴を見る目はとても優しいものだった
誰も彼がポートマフィアのしかも、指名手配犯であることなんて見抜けないくらいに
灯りのつくリビングの扉を開ける
「A…」
部屋を見渡してみればソファーの上でまるまるAを見つけた
ペタペタ…
「ふっ…起きている時もその様にして甘えれば良いものを」
「相変わらず、Aは甘えるのが苦手だな」
そう言い血のついたコートを洗濯機に張り込む
もう一度そばに戻ってきてソファーに腰掛ける
頭を撫でて
本を読む
なんの会話もない静かな空間だったが
幸せがただよっていた
「…また、傷が増えたな」
新しく額に巻かれた包帯をみる
それは痛々しそうに血が滲んでいた
…
「Aを苦しめるものは僕が片っ端から八つ裂きにしてやりたいが…」
「その様なこと、Aは嫌がるだろう」
「どれだけ己が酷い仕打ちを受けてもな」
スヤスヤと眠るAはまだまだ子供に見えた
20と18、大差ないと思うかも知れぬが
18はまだまだ子供だ
すぐに大人になんてならぬ
僕もなお、大人というものが分からぬ
…きっと僕はAよりも先に旅立つ
そうなったら…Aの居場所は無くなるのか
「はっ…まだ生きよう」
「Aのために」
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夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - 猫春#ねこはるさん» 読んでもらえてとっても嬉しいです!舞い上がってますw最初とその後の切り替え凄いですよね、ややこしい事になってしまいすみません…と思いながら優しい太宰さんも怖めな太宰さんも好きなので書いてしまいました (12月24日 21時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
夢幻泡影(むーにー)(プロフ) - 来世は推しと生きたいさん» ありがとうございます!次回作は芥川さんから一度離れてみようかと思い別の人物に手を出してしまいました。毎作品、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます! (12月24日 21時) (レス) id: fd232344cc (このIDを非表示/違反報告)
猫春#ねこはる - 取り消します。死ぬほど優しかったです(((今読んでる最中の人 (12月24日 17時) (レス) @page11 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
猫春#ねこはる - 太宰さんが怖すぎて好きです (12月24日 17時) (レス) @page7 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
来世は推しと生きたい - 完結おめでとうございます!!何度も主様の作品に泣かされました…本当に感動物です。私は芥川推しなのですが,主様の書く原作を保ちながら優しさを少しずつ見せる感じがすごく好きです。あと夢主ちゃんの性格も毎回好きです!次回作も読ませて頂きます! (12月24日 17時) (レス) @page44 id: 3324b2c332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢幻泡影(むーにー) | 作成日時:2023年10月16日 0時