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白鯨潜入の少し前＿＿＿＿
「単独潜入ですか……？」
紙飛行機に書かれていた指定の時間に敦は、病院から戻って来た二人と作戦会議をしていた。
甜瓜・林檎・不知火…等の少し大型な果物が入っているフルーツバスケットを持ち、何時もとは違う表情をしている御阿礼を敦は気になったものの、詳しくは聞かなかった。
無闇矢鱈、人が言いたくない事は聞くモノじゃないから。
…思い出したくない過去と同じで。
「そう。手に入った情報に依るとね、組合は地上での総攻撃を計画中らしい」
「その隙を突いて薄手な空中要塞。白鯨に潜入し管制を奪う…って、云う事」
カ林檎に被り付き、白鯨の構造が書かれている図面に、御阿礼は銀短刀 を投げる。
隣で行われた物騒な行動に、敦は冷や汗をかいた。
「そんな大変な作戦を……僕一人で？」
「単身潜入になると、人選が不測の自体にも対応可能な戦闘系異能者が望ましい。ま、早い話。探偵社の中で敦君が一番、逃げ足が疾いからね」
「…」
「それに敦君は白鯨の中に捕らえられて土地勘がある。加えて最悪失敗しても、捕らえるだけの可能性が高い。
君以上の適任者は居ないよ。やってくれるかい？」
・
[ 断れ ]
・
［買い被りも甚だしい。
貴様には無理だ。
貴様は死ぬまで、
孤児院の愚図なのだ。］
ぎゅっ…と、敦は洋袴を握り締め太宰に話しかけた。
「やります」
その瞳には恐怖や、迷いは一切無かった。
彼は覚悟を決めたのだ。
過去の自分にはもう成らない事を。もう組合の進行を止める者は…自分しか居ないのだから。
──羨ましい…
「み、御阿礼さん…？あのぅ……これは？」
自身の頭に乗る暖かいモノ…自身の頭を撫でる御阿礼の姿に、敦は戸惑った。
「よーし、よしよし！敦君は良い子だねぇ！」
「わっ！ちょ、御阿礼さん！」
御阿礼は敦のゴワゴワな髪の毛を、より乱れるように撫で回した。
嫌がる敦を見ても御阿礼は止めない。こうしないと敦に向ける感情が変な方向に行ってしまうから。
「アハハ！ごめんね。余りにも険しい顔をしていたから…つい」
「まるで、猫の扱いだねぇ」
「あー確かに」
「僕はトラです！」
フシャー…と、無意識に虎耳を出して否定する敦。
その姿を見ていると威嚇している仔猫にしか見えない。
「まぁ…とりあえず、言いたい事はね……。
この作戦、敦君は……いや、敦君だからこそ出来るの。
だから………
・
・
頑張って」
【２１章５話】天の海をゆく白鯨のありて ページ29
白鯨潜入の少し前＿＿＿＿
「単独潜入ですか……？」
紙飛行機に書かれていた指定の時間に敦は、病院から戻って来た二人と作戦会議をしていた。
甜瓜・林檎・不知火…等の少し大型な果物が入っているフルーツバスケットを持ち、何時もとは違う表情をしている御阿礼を敦は気になったものの、詳しくは聞かなかった。
無闇矢鱈、人が言いたくない事は聞くモノじゃないから。
…思い出したくない過去と同じで。
「そう。手に入った情報に依るとね、組合は地上での総攻撃を計画中らしい」
「その隙を突いて薄手な空中要塞。白鯨に潜入し管制を奪う…って、云う事」
カ林檎に被り付き、白鯨の構造が書かれている図面に、御阿礼は銀
隣で行われた物騒な行動に、敦は冷や汗をかいた。
「そんな大変な作戦を……僕一人で？」
「単身潜入になると、人選が不測の自体にも対応可能な戦闘系異能者が望ましい。ま、早い話。探偵社の中で敦君が一番、逃げ足が疾いからね」
「…」
「それに敦君は白鯨の中に捕らえられて土地勘がある。加えて最悪失敗しても、捕らえるだけの可能性が高い。
君以上の適任者は居ないよ。やってくれるかい？」
・
[ 断れ ]
・
［買い被りも甚だしい。
貴様には無理だ。
貴様は死ぬまで、
孤児院の愚図なのだ。］
ぎゅっ…と、敦は洋袴を握り締め太宰に話しかけた。
「やります」
その瞳には恐怖や、迷いは一切無かった。
彼は覚悟を決めたのだ。
過去の自分にはもう成らない事を。もう組合の進行を止める者は…自分しか居ないのだから。
──羨ましい…
「み、御阿礼さん…？あのぅ……これは？」
自身の頭に乗る暖かいモノ…自身の頭を撫でる御阿礼の姿に、敦は戸惑った。
「よーし、よしよし！敦君は良い子だねぇ！」
「わっ！ちょ、御阿礼さん！」
御阿礼は敦のゴワゴワな髪の毛を、より乱れるように撫で回した。
嫌がる敦を見ても御阿礼は止めない。こうしないと敦に向ける感情が変な方向に行ってしまうから。
「アハハ！ごめんね。余りにも険しい顔をしていたから…つい」
「まるで、猫の扱いだねぇ」
「あー確かに」
「僕はトラです！」
フシャー…と、無意識に虎耳を出して否定する敦。
その姿を見ていると威嚇している仔猫にしか見えない。
「まぁ…とりあえず、言いたい事はね……。
この作戦、敦君は……いや、敦君だからこそ出来るの。
だから………
・
・
頑張って」
【２１章６話】天の海をゆく白鯨のありて→←【２１章４話】天の海をゆく白鯨のありて
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えぼし(プロフ) - 造花さん» 矢張り応援コメントは嬉しいですね。ありがとう御座います！造花さんは二週間後にテストなんですね…頑張ってください。本当に一夜漬けはオススメしません！本当に！！ (2022年11月3日 20時) (
レス) id: 0e1ad52da6 (このIDを非表示/違反報告)
造花 - テストお疲れ様です。えぼしさんの作品はどれも面白いので更新楽しみにしています！体調を崩さぬようゆっくりとお休みください。私も二週間後にテストがあるので頑張ります。 (2022年11月3日 20時) (レス) @page31 id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
えぼし(プロフ) - れいれいさん» 楽しみにして頂ける分、体調を崩さぬよう頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (レス) id: 0e1ad52da6 (このIDを非表示/違反報告)
れいれい - 頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年10月1日 20時) (レス) @page14 id: 26ecfa2b3e (このIDを非表示/違反報告)
えぼし(プロフ) - れいれいさん» 作者の自己満作品を面白いと云ってくれるなんて…！ありがとうございます！更新が不安定になる時もありますが、モチベを下げずに頑張ります！ (2022年10月1日 8時) (レス) id: 0e1ad52da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えぼし | 作成日時：2022年9月16日 17時
