元幻想郷少女は異能力者弐篇 (ページ40)

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【７章３話】うつくしき人は寂として石像の如くページ40

「それで？」

御阿礼のお金で自身の好物を食べ終わり

カコンと鹿威し(ししおどし)の音響が鳴る部屋で国木田は鏡花に問う

「両親が死んで孤児だった私をマフィアが拾った。私の異能を目当てに
　『夜叉白雪』は、この電話からの声だけ従う。だからマフィアは」

「それを利用して、暗殺者に仕立てた。か」

話しながら何時も首に掛けられている兎の人形(キーホルダー)が付いた

携帯電話を長い机(テーブル)に置きス…と鏡花は三人に見せる

説明した異能力の危険性、ポートマフィアに入った理由を聞き

口元に指を当てて、考えている様子の国木田

「じゃあ、携帯電話を捨てれば」

「敦君、逆らえば殺される。それがマフィアなのよ」

敦の提案を不可能とも取れる表情で却下する御阿礼

逃亡ならマフィアの〝最少年幹部〟等の功績を持っている人物なら可能だろう

然し鏡花も凄腕の少女暗殺者で有名だが未だ十代前半の少女

強大な組織のポートマフィアには敵わないのが現実的だ

「そう。それに、マフィアを抜けても行く処がない」

鏡花は両親を亡くしており孤児だ。その処をポートマフィアに拾われた

マフィア自体が今の両親的な存在であり確かに抜けても行く場所がないのだ

その事は鏡花自身が一番、判っている

「電話でその夜叉を操っていたのは誰だ？」

「……芥川という男」

少し間が空き鏡花の口から出た名前を聞き敦は目を見開いた

鏡花の隣に座っている御阿礼の表情は悲しいような納得した様な顔をしている

「俺達は先に社に戻って報告する。敦」

そう云って国木田は立ち上がりクイッと顎を動かして敦を廊下に呼ぶ

どうやら鏡花は一番御阿礼を信頼(？)しているらしく監視役として一緒の部屋に座っている

薄暗い廊下に出た敦に対して国木田は言葉を言い放った

「娘を軍警に引き渡せ」

「……！
　でも、そんな事をしたら」

「３５人殺しなら

　まず、死罪だな」

スタスタと薄暗い廊下を進んでいき国木田が発した言葉

〝死罪〟に敦は呆然と絶望が混じった表情に変化する

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