13 最低な答え ページ13
テヒョン「え?」
彼女の問いかけに理解が追いつかず答えられなかった。
「え、えっと実は最近配信のほうで芸能事務所の方に声をかけられて。最初は怪しく感じてたんですが結構ちゃんとした事務所だったんです。今働いてる職場はブラックな部分があったし今みたいに配信者として活動出来るならいいかなって迷ってまして。」
テヒョン「…いちごみるくちゃんは入りたいの?」
「前向きに検討はしてます。もちろん大変なのは百も承知です。だけど大好きな配信を仕事にできるって私にとっては夢みたいだなって!」
そう言う彼女の目はキラキラしていた。
見覚えのある目。
そう、デビューしたての頃の僕のような…未来に希望を持ってる目。
テヒョン「やめたほうがいいよ。」
「え?」
テヒョン「芸能人になるって窮屈な思いしかしないし。上手くいっても上手くいかなくても自由なんてない。自分の推しすら推せない世界だよ。好きなものを好きって言えない世界。好きなことを仕事にしたはずなのにどんどん嫌いになってくような世界だし。」
そこまで言って僕は我に返った。
自分の目の前にある未来に希望を持っている人に対して僕は最低な答えを出している。
彼女の顔を見ることができなかった。
「テヒョンさん。私の事好きですか?配信者のいちごみるくとして。」
テヒョン「そりゃあ、もちろん好きです。」
そう答えると彼女はにっこり笑った。
「言えましたね!好きって!ちゃんと言えます!」
その彼女の言動に僕は心底びっくりした。
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作者名:ゆちこ | 作成日時:2023年8月1日 22時