恋愛キャンディ【短編集】 (ページ6)

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『忘れ物』半田真一ページ6

半田side

半田｢あ、宿題忘れた…｣

部活終わりの帰り道、俺は忘れ物に気付いてしまった。
…気付きたくなかった…。いや、気付いて良かったんだけどさ。
幸い俺が今いる場所は家に帰るより、学校に戻った方が近い。

半田｢あー…戻るか｣

俺はそう呟き、学校に向かって歩いた。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ
俺が教室のドアを開けると驚きの人物がいた。
それは…

A｢え…？半田…くん？｣

クラスメイトのAだった。
しかも今……。
いや、気のせいか。

半田｢A…何してるの？｣

と俺はAに聞いた。するとAは…

A｢家に…帰りたくなくて…ね…｣

と前を見ながらポツリと呟いた。
そう言ったAの顔はいつもの元気な顔と違って泣きそうだった。

半田｢…そっか。｣

と俺はそれだけ呟いて自分の机に向かった。
本当は何か声をかけてあげたかった。
だけど…今の自分がAに何が出来るかわからなかった。

A｢…半田くんは…なんでここに？帰ったんじゃなかったけ…？｣

と声が聞こえた。
俺は背中を向けながら忘れ物の事を話した。
するとAは

A｢それすっこぐラッキーじゃん｣

と言った。
俺は｢ん。｣とだけ返事をして宿題をカバンに詰めた。
…本当に今日のAはいつもと違う…。
俺はそんな考えながらドアの前に行った。

A｢最後に…１つ…良いかな？｣
半田｢ん？｣
A｢…私が…サッカーやってたら…どうする？｣

とAが呟いた。
…Aがサッカー…想像できない←

半田｢想像できないけど…一緒にやるかな。サッカー。｣

と俺が言うと

A｢ありがと。｣

とだけ言って微笑んだ。

半田｢っ///｣

俺は｢じゃ、じゃーな！｣と言って教室を後にした。
…不意打ちの笑顔…ずるいって…。

あの日から約1週間後、フットボールフロンティア決勝戦後。
俺は壊れた雷門中に立っていた。
近くには…倒れているイナズマイレブンのおじさん達もいる。
…なにがあった…。

そして、なんとなく前を向いた。
そこに…謎の服を着たAがいた。

半田｢っ…A…？｣

俺が呟くとアイツも俺の事に気がついた…らしい。
アイツは俺の事を見るとあの日のように泣きそうな顔で…こう言った。

｢ごめんね｣