黒い彼女に生を寄せて【gr】 (ページ4)

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No.3　契約ページ4

Aside

『...いいだろう、仮契約ぐらいしてやる。』

私が胸ぐらを掴んだ手を離し、そう言うと安堵する息が目の前の人間から漏れた。

『本よ、こちらに来い。』

そう言うと本はひとりでに動き出して、私の目の前で浮いたままパラパラと本が開いた。

その現象は初めて見たのか、人間達は驚いていた。

『管理者、契約書を出してくれ。』

そう本に向かって言うと、嫌いな声が聞こえてくる。

[名前を申して下さい。]

『...A・ジラーエ・ヴィラニスタだ。』

[あら、A様が契約書とは...、珍しいこともあるんですね。今後も契約と関わることは無いと思っていました。]

『黙れ。仮契約するだけだ。』

[仮契約...、少しお待ち下さい。]

無機質な声であるのに、どこか人間のような心がある。
天界では魔導書を"自由な精神を持った本"と解釈されることも多い。

魔界ではそのような精神は珍しくない。悪魔は欲のままに生きる。自由とは少し違うかもしれないが、大部分は変わらない。

[お待たせしました。呼び出し主様、こちらのインクをお使い下さい。]

gr「あ、あぁ、わかった...。」

光と共に出てきた契約書、羽ペン、インクは浮いたまま人間の元に行く。

『そこに名前を書くだけでいい。後は私がする。』

gr「...書けたゾ。」

契約書はふわふわと浮きながら人間から私の元へと移動する。

『..."グルッペン・フューラー"か。』

呼び慣れているような気がしたが、今はそんなことはどうでもいい。

親指を歯に当ててガリッと噛む。そして、出てきた血を契約書に垂らす。

『魔界より呼び出されし悪魔、A・ジラーエ・ヴィラニスタ。今、グルッペン・フューラーと契約を交わす。』

契約書は光の玉を作り、私の首へとその光は飛び出た。チクリと少し痛む。契約書はただの紙のようにその場にひらひらと落ちた。

gr「A！大丈夫か！？」

『全く、何を心配しているんだ...。お前は契約書の心配をした方がいいぞ。

契約書は破壊すれば、契約はなかったことになる。』

gr「だが、俺はAの方が大切だ。」

変な奴だ。悪魔を人間のように扱うとは。

『...私は1度魔界に戻る。契約を果たすのはその後だ。他の仲間にも伝えておけ。

1週間後、望む姿となって人間界に来よう。』

一方的に伝えて、私は転移魔法を使った。

グルッペン、お前ほど"読めない人間"は初めてだ。

せいぜい楽しませてみせろ。