髪型 ページ10
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「はい完成」
「お〜!」
お昼休み、美容師志望のユカちゃんに髪をアレンジしてもらう。手渡された鏡を覗き込むと、ユカちゃんが日頃から愛用しているというコテで髪をクルクルと巻かれていて、ハーフアップとやらになっていた。私の性格には似合わないかわいらしい雰囲気。初夏である今は暑苦しいがかわいいから満足だ。
「かわいい!」
その日の部活で私はルンルンな気分で研磨に髪型を見せた。
「研磨!髪型どお?」
「…髪下ろしたんだ。いいんじゃない」
「わーい」
何故か適当感が否めないが、まあ褒めてくれたので良しとしよう。すると黒尾、やっくん、海の3年生組がやって来る。
「お、A!なにその髪型?」
「友達にやってもらった!」
「へぇ、いいじゃん、似合ってる」
やっくんがド直球で褒めてくれる。やっくんのこーいう素直なところが素敵だなあと再び実感した。
「更に子供感増してんじゃない?」
「少しは褒めること出来ないの?」
「はいはい、カワイイカワイイ」
いや、訂正しよう。研磨よりコイツの方がずっと適当だ。
「休憩!」
そうクロの言葉を合図に部員がゾロゾロゾンビのようにやって来る。
「おつかれ〜」
「ありがとうございます……」
やはり、暑さで死にかけてる部員を見ると夏を感じる。確か今日の気温は37度だっけか。初夏にしては暑い。そして、なぜコイツは休憩が終わったのにも関わらず私の隣で仁王立ちしているんだ。しかも扇風機の当たる涼しいところ。
「おい」
声を掛けると扇風機にあたって涼しそうな黒尾がこちらを向く。
「主将がそんな堂々とサボっててどうすんの。」
「いや、僕は選手の様子を」
「それは私の仕事」
「いやぁ、…ハハハ」
ハハハ、じゃねえよクソが。練習しろという思いを込めて背中を蹴ろうとするけど、ドヤ顔でかわされてしまう。
「別にサボんのは勝手だけど、そこ邪魔だから退いて」
「はーい」
私と黒尾の間に気まずい空気が流れる。いや、別に気まずくないけど。如何せんこちらは今年で3年の付き合いでして。
「…た」
「え?」
「…み、……てる」
「なんだよハキハキ話せ」
私と出会ったばかりの研磨のようにボソボソと俯いて何かを言う。
「…髪型、似合ってる」
「…は?」
「……え?」
「…ああ、ありがとう」
そうお礼を言うと、クロは不満そうに顔を歪めた。
褒めてくるなんて、思わないじゃん。
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チョギヨ(プロフ) - 黒尾ファンさん» 泣いてくださったんですかありがとうございます🥹🥹がんばります💖 (3月20日 22時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
チョギヨ(プロフ) - コーンクリームコロッケさん» ごめんなさい今気づきました😿‼️ありがとうございますたくさん見返してニヤニヤしてください💖💖 (3月20日 22時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - まじで感謝します、、、泣きました。嬉しくてこれからもいろんなものをつくってください。応援してます! (3月20日 21時) (レス) @page40 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - えいやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!なんで美味い話なんだああああああああああああ!!もうほんとに黒尾さーん………!最後までニヤニヤしながら見させていただきました最高でした! (2月19日 13時) (レス) @page33 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
ちよちゃん(プロフ) - めいさん» めいさんありがとうございます🥹海水染みそうですね、、( ˇωˇ ) (11月23日 20時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよちゃん | 作成日時:2023年11月13日 18時