4-惚気 ページ37
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「付き合ってんなら早く言えよ」
終わった、と思った。
事の発端は数分前。
「さむー」
「黒尾くんが暖めてあげましょう」
朝練前、研磨は季節の変わり目である今熱が出たらしく、ふたりで登校していた。早朝だから人もいないしかなり寒い。寒さに身体を震わせているとクロがそう言って、手を絡め自身のポケットに突っ込んだ。カイロが入ってるらしく、信じられないくらい暖かくて全身がポカポカになる。
「暖かすぎ」
信号待ちをしている最中。人も少なく安心しきっていた私はクロの肩、いや二の腕あたりに頭を預けた。珍しく甘えてくる私に、クロは鼻で笑うと反対の手で頭をわしゃわしゃ撫でる。
「もうちょっと優しく撫でれないの」
睨み付けると、私の隣にニョキっと誰かの影が出来る。
「お前ら付き合ってんなら早く言えよ」
で、冒頭に至るというわけで。
「やっくん…!??」
「あ、手繋いだ時から見てた」
「え」
スパイ並みの気配の無さにクロも驚きの声を零す。
「やっくん、誤解って言ったら通じたり…」
「しないな」
どう見てもカップルのそれだった、と謎のドヤ顔で言う。あー、終わった。クロは乗り気みたいで私の肩に手を置き、「A、諦めろ」と腹の立つ表情。
「いつから?」
「…花火大会」
「やっと惚気られる…」
声を出したかと思うとやっくんに向け止まることの無い私の惚気。本人の目の前で言うなんて有り得ない、、
「もうキスまで行ってんのか」
「そーそ、初キスは部活終わりの__」
「もういいよ!部活の話しよう!!」
そう遮っても、やっくんは嫌そうな顔見せず質問までして話を盛り上げている。惚気は部室について着替えた頃にやっと終わった。部活だからと切り替えたと思ったんだけど、
「福永、俺Aと夏祭りから付き合ってる」
「クロ!?」
なんて、クロは自らひとりひとりに報告しに行った。やっくんにバレた事で開き直ったのか、惚気を聞かされ照れる私を見て変なスイッチが入ったのか。
「部活やめたい…」
リエーフに茶化され、猛虎は失神し、犬岡からは純粋な眼差しで質問攻め。言いふらした当の本人はネットの準備。
「通りで最近仲良いなと思ったんですよ!!文化祭の時なんか2人で回ってんの見たし…」
「キ、キキキキス…!キスはしたんですか!」
「黒尾さんのどんな所が好きなんですか!?」
変な後輩しかいない。
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チョギヨ(プロフ) - 黒尾ファンさん» 泣いてくださったんですかありがとうございます🥹🥹がんばります💖 (3月20日 22時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
チョギヨ(プロフ) - コーンクリームコロッケさん» ごめんなさい今気づきました😿‼️ありがとうございますたくさん見返してニヤニヤしてください💖💖 (3月20日 22時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - まじで感謝します、、、泣きました。嬉しくてこれからもいろんなものをつくってください。応援してます! (3月20日 21時) (レス) @page40 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - えいやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!なんで美味い話なんだああああああああああああ!!もうほんとに黒尾さーん………!最後までニヤニヤしながら見させていただきました最高でした! (2月19日 13時) (レス) @page33 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
ちよちゃん(プロフ) - めいさん» めいさんありがとうございます🥹海水染みそうですね、、( ˇωˇ ) (11月23日 20時) (レス) id: 35fb781d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよちゃん | 作成日時:2023年11月13日 18時