187センチVS150センチ【黒尾鉄朗】

写真 ページ24

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「はぁー！！疲れた…」


リエーフからいじめられてる(語弊)研磨を置いてパラソルまで戻る。わたしの顔はびちょびちょだ。クソ、アイツら先輩に対して容赦ないんだから…


「俺らも混ざってこようぜ海！」


そう言ってやっくんと海は海に走る。必然とクロとふたりきりになった。


「海(うみ)に入る海(かい)…ってか」

「…面白くないよ」

「俺の渾身の一発ギャグ」


その場凍りつくわ。


「クロは海入んないの？」

「A置いては行かねぇよ」

「…ふーん」


なにそのセリフ。クロのくせに生意気。


「うわ、研磨びしょびしょ…」

「ほんとだ、後で怒られるかも」

「けど楽しそう」


我が子の成長を見てる気分。そんなかわいい後輩たちをカメラに収めるべくスマホを取り出して撮る。


「A、スマホ貸して」

「え？」


返事を言う間もなく、奪い取られてしまった。するとクロはスマホを横にしてカメラを開く。


「えー、ツーショットとか乙女だね黒尾クン」

「うるせ」


なんて笑いながらもピースをする。慣れない手つきで写真を撮るクロはおもしろかった。


「めっちゃブレてんじゃん、下手くそ」

「しょうがないだろ」

「いいよ、私が撮る」


こう見えて女子だから写真は撮り慣れてるんでね。加工アプリを開いてかわいいうさぎちゃんのスタンプを使って撮る。


「ふはっ、」


液晶にはまつ毛が長くなって、口も頬も赤くなって目はパッチリ、鼻は小さく、かわいーく加工されてるクロの姿。わたしが笑ってるとクロは画面を覗き込みわたしと同じように笑った。


「顔やばいって…」

「笑うな」

「クロも笑ってる！」


ひとしきり笑ったあと、ちゃんと普通のカメラで写真を撮った。わたしが撮ったからブレてないし、クロはかわいく加工されてもない。インスタを開いて、さっき撮った海と空の写真をストーリーに載せる。綺麗に撮れた、お気に入りの一枚。誰と来てるかはみんなに秘密。これはわたし達だけの思い出。


「クロも海入ろーよ」


立ち上がって、クロに聞く。めんどくさそうだけど、どこか楽しそうにクロも立ち上がってアツアツの砂浜を歩きながら海に向かった。


「いーれーてー！」

「うわ！Aと黒尾だ！！水かけろ！」

「容赦しないですよ！！！」


瞬間、バシャリと私の顔に水がかかる。リエーフがクロにも水をかけて、それを合図に水を掛け合いみんなしてびしょびしょになった。

はー、たのしい。



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