187センチVS150センチ【黒尾鉄朗】

羞恥 ページ13

▷A◁

　
「A、黒尾に謝ったか？」

「…まだ」

「…早く仲直りすればいいのに。2人が静かすぎて怖い…」


ボール事件の翌日。今私が研磨とやっくんに詰められている理由。それは昨日起こったクロとの喧嘩(私が一方的にキレた)のが理由だ。

抱き締められた時、一瞬今がどういう状況か分からなくなって、状況を理解した瞬間、今までにないほどの羞恥心が沸いてきた。それが私の天敵クロ相手にだと分かると、クロにドキドキしてしまった自分がよくわからなくなってクロがどうしようもなくかっこよく見えた。そんな思考を無くすために、私が一方的にクロに八つ当たりしたのだ。


「助けてくれたのにあんな言われたらクロだって嫌いになるでしょ」

「Aの事？」

「そ」


ぶっちゃけ今自分がなんでこんなにクヨクヨしてる訳が分からない。でも、いつも言い合いしたまま帰っても次の日には何も無かったかのようにまた私をからかって来るクロが、今日は目が合った瞬間気まずそうに視線を逸らしたのだ。こんなの嫌われたに決まってる。


「…Aはさ、クロの事嫌いなの？」

「…」


すぐに馬鹿にして来るし、ムカつく顔で私を見下してくるし、でも時々見せるあのかっこいい顔。前は嫌いかと聞かれると嫌いと即答していた。でも今はどうだろう。自分は今クロに嫌われるのを怖がっている。前まで嫌いだった相手に。


「もう分かんない…」

「黒尾は嫌ってないと思うけどな。」

「なんの根拠があって…」

「だってアイツ今日の朝めっちゃ悩んでたぞ」


やっくんの言葉で頭はハテナだらけ。


「『はぁ…どうやってAに謝ろ……』って。朝練でも言ってたのに気付かなかったのかよ」

「…まじ？」

「つまり、謝ろうと悩んでるのはお互い様ってこと」

「2人が争ってなかったら落ち着かないし…早く仲直りしてよね」


キラキラと効果音の着きそうな顔で言うやっくん。相変わらずゲームから目も離さずに言う研磨。


「…まぁ考えてやらんこともないけど？？」

「そこは素直に謝ってくるって言えよ」


はははっ、と私の頭をポンポン叩きながら言う。
頭痛えっす……


「なんか元気でた！！励ましてくれてありがとね」

「こんなん励ましにも入んねえよ！俺らからしたらただ単にお喋りしてただけだしな」

「そうだね」

「君らいい子すぎ！」


．

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