７話 ページ9
Aside
プチン、プチン…と草を抜いていく、サンサンと俺を焦がすように満遍なく照らす太陽が憎い。
…俺を丸焼きにでもするつもりか！
流れる汗を拭い、こんなことをさせている人物を睨みつけた。
A「あのさぁ…」
今日は、休日。
兵士も皆、実家に帰ったり、鍛錬したり、買い物に出かけるなどをする日がようやく俺にも来たのに…！
A「今日は休日のはずなんですけど…？ひとらんらんさん？」
ひと「え？二日酔いの時、休んだでしょ？」
と、言われてしまえば、ぐうの音も出ない。
俺はため息をつきながら、プチプチと区別のつかない草を抜いていく。
A「俺の休日は、これで終わりか…」
ひと「後でべっこうあめでも作ってあげるから…」
A「…？べっこうあめ…？」
するとひとらんはコクリと頷いて、何でもひとらんの母国のお菓子だとか…
A「なぁ、ひとらん…」
俺はひとらんの耳元である事を提案すると案外、すんなり通った。
少し予想外だったけど、俺は作業する手を早めた。
時間は惜しいからな！
なお、ノルマを倍に増やされたのは、言うまでもない。
╋ ╋ ╋ ╋
コンコンと、黒くていかにもお偉いさんがいますって感じの扉を叩くと、聞きなれた低い声が、どうぞ。と短い返事が聞こえた。
A「おじゃましまーす」
グル「相変わらず、律儀だな。ノックして入るのはお前とトントンとかぐらいだぞ。」
A「一般兵上がりだからね。抜けなくて」
そうだ。俺が憧れて入ったこの軍。当時はグルッペンなんて神にも等しい存在として崇拝と敬意を持ってガッチガチで話してたな。
まぁ、今も敬意はあるけど神じゃないなぁ…自分勝手で、頼りになるうちの総統様になった。
グル「で、何のようだ？お前がここに来たということはただ、世間話をしに来た訳では無いだろう？」
A「お察しの通りで、グルッペン。１回何も言わずに目をつぶって口開けてくれない？」
そう言うと素直に目を閉じ、口を開けた。
A「ちょ…そこまで素直でええの？毒かもしれんよ？」
グル「構わん、お前がそういう奴ではないことは分かっている。それに、そういう奴であったとしても、それは俺の見る目がなかったということだ。」
A「カッコイイなぁ…」
その開いた口にコロンとべっこうあめを入れてやると、目を開け、キラキラと輝かせた。
…こういう所が子供みたいだよなぁ…
こんな総統を護るのは、俺の仕事だなんてね
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作者名：翔和 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月8日 9時
