【実況者】弱点だらけの僕と【wrwrd！】 (ページ12)

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１０話ページ12

Aside

俺はスッと立ち上がり、木の上に登る。
左手が使えなくても、毎日うちの狂犬２人の相手をしてるんだ。

なんて考えながら登っていくと、あっという間にテッペンにたどり着いた。

A「裏取り部隊に告ぐ、これよりコネシマの率いる部隊に全員で合流し、敵の本陣を叩き、俺に合流せよ。」

ザワザワと、インカムが騒がしくなる。
そんな、とか、嫌ですなんて声が聞こえる。

…本当につくづくいい部下だよ。

A「はーい、文句言わない。ほら早く合流する。そんな文句行ってる間にも、俺はヤバいんだからね？」

なんておちゃらけて言うと、しんっと静まり返る。
…おいおい…

A「そんなに俺が信用ないの？」
エリ『…隊長｡』

エリが振り絞るような声が聞こえた。俺は思わず笑みが零れた。

エリ『…絶対、そこで待っててくださいよ。』
A「あったり前だろ？その前に全滅してるかもしれないぞ！」

俺は久しぶりにあるものを手に取り、撫でた。
…待たせて済まないな。

A「さぁ！これも時間との勝負だキリキリ働けよ！指揮権は全て、エリに任せる！」

俺はインカムを切ると、何だか少しだけ身体が軽い気がした。
気のせいだと、勘違いだって…分かってるけど…でも。

A「まだ…アイツらといたいんだよな。」

こんな絶望的な状況は滅多にない。
何だよ１対不確定多数って、アホじゃないの？

『ちょっと…いい？』

ふわっと耳をかすめたのは、いつも俺のイタズラの標的になるホビット族だった。

A「何？」
ロボ『…勝てるの？…コネシマは今頑張ってるけど…でも、それでもAは…』

何だよ、らしくないなんて思う。
で、１つ俺は思い出したんだ。

ーーー俺の最期の心音を聞くのはロボロだと。

A「…初めてじゃないだろ？ﾀﾋんだらそれまでだ。」
ロボ『…んで…』

俺は小さく掠れた声のロボロに笑いかけた。
やめろ、らしくない姿じゃただつまんないだけだ。

A「帰ったら、飯くいに行こうぜ」
ロボ『…Aの奢りな』
A「マジかよ」

なんて言ってたら木がぐらぐらと揺れ始めた。
どうやら、落ちてきたところを狙うつもりらしい。

A「んじゃ、ロボロ。いつものよろしく！」
ロボ『…おーけい！A。準備はいい？』

俺はバランスを取りつつ、思考を巡らせる。
…狙うは、スナイパー。

A「いつでも。」
ロボ『では戦争を始めよう』

俺はその声が聞こえた時には木から飛び降りた。