【実況者】吾輩は…【wrwrd】 (ページ9)

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７噺ページ9

Aside

これは…人間だった頃の噺…

寝そべって見上げる空は、とても澄んでいて綺麗な青だった。
絵や、文字などでは到底表現しきれない…
それが、空の魅力だった。

A「…」

空に手をかざしてみる。
触ることさえ許されない空に、俺はクスリと笑をこぼす。
すると、しゃく…しゃく…と草を踏む音と共に、影が俺を覆う。
見上げてみると、呆れたような安心しているような…どちらとも言える顔をしたトントンがいた。

A「…とんすけ…」
トン「ちょとまて！？なんや急に『とんすけ』って！」
A「…気分やな」

気分で呼び方変えるん！？なんて言われたが、適当に思いついて言っただけなんで特に、気に留めることもなく起き上がる。

A「…で？グルッペンに俺呼ばれたの？」
トン「…お察しの通りです。」

やっぱり、トントンがここに来るのは珍しいからな…どうせ狂犬２人を先に行かせたんやろうけど分からんかったんやろなぁ…

トン「お前、ほんとここ好きだよなぁ…」
A「この基地内で空が１番見えるからな」
トン「まぁ、人もこないやろ。こんな基地のはずれやし。」

基地の一番端っこ。ひとらんらんの畑の少し奥。
それが俺のお気に入り場所。

A「また戦争？」

俺が呆れながら聞くと、トントンら苦笑いを浮かべながら頷いた。

トン「今回もヨロシクお願いしますよ？『空の狩人』」
A「あんまり好きじゃないんだよなぁ…」

空を狩ることなど出来はしないのに。
俺の所属は空軍。

空をかける俺は狩人の様だと言われているようだ。

A「形だけでも…」
トン「ん？なんか言ったか？」
A「なんでもねーよ」

形だけでも、空を俺の物にしたいというのはおこがましいだろうか。