6噺 ページ8
Aside
私は時々、考える。
夕暮れ時、日が傾いて燃えるように赤い空は綺麗で。
ただ、ただ、眩しかった。
ーー何故、私は猫にされたのか。
ーーー何故、私が選ばれたのか…?
ーーーー何故、何故、神は…
と考えていると、後ろからひょいっと抱き上げられる。
緑色の袖が見え、ゾムであることが分かった。
ゾム「帰ったで〜A」
ワシャワシャと撫でるその手の温もりに、永遠に分からないであろう問の答を考えるのを放棄した。
ゾムは優しいからよく食べ物をくれる。
ゾム「すまんなぁ、A。今日は食べ物何持ってないんや…」
いや、いいんだ。これからご飯だから。と言う事を伝わればいいのだが、にゃと鳴き声を一つ零すと、ゾムは私を撫でる。
ゾム「…Aも起きてくれればええんやけどなぁ…」
ポツリと零れた一言。
私は聞き逃さなかった。
…私以外に、私の名を持つ人間がいる??
ガンガンと頭が痛くなってきた。
ザザっとまるで映画でも見ているような感じの情景が頭の中を駆け巡る。
そうだ…私…俺は…
ーーーーー
トン「Aっ!」
伸ばされた手、スローモーションのように銃弾が心臓近くに向かってくる。
ーーああ、コレは無理だ避けられない…
ーーー最期くらいゆっくり空を見たかったな…
心臓あたりにやけるような痛みにゆっくり視界が真っ暗になっていく。
最期に見えたのは、泣きそうになって俺に必死に手を伸ばす、親友の…トントンの姿だった。
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作者名:翔和 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月23日 21時