【実況者】吾輩は…【wrwrd】 (ページ6)

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４噺ページ6

Aside

私の夕方は楽しみだ。
トテトテと昼間暑くて行けない畑に向かう。
畑にいる彼に会うためだ。

にゃんとひと鳴きすれば、彼はくるっと振り返る。

ひと「…いらっしゃい。A」

彼はいつも付けてるマスクを顎まで下げて、私を撫でる。
中々テクニシャンで、撫で方を心得ている。
昼間といい、今日は頑張ったのだ。

毎日この為に頑張っていると言っても過言じゃない。
彼の嫌がる事は私も嫌だ。

その時ガチャりと開く扉の音が聞こえた。
振り返ろうとする前にヒョイっと持ち上げられ、ぷにぷにと肉球をつっかれた。

その男は、少し髪が乱れているが、黒髪の七三分けをしていた。

ひと「いらっしゃい、トンち」
トン「おお…疲れたで…A、ちょい…もうちょい…」

ぷにぷにぷにぷにと肉球を触るトントン。
今日もグルッペンが抜け出したり、元々追われてる書類やら何やらで忙しいんやろなぁ…

でもこの体勢は疲れる。
スルッと手から抜け出して、トントンの膝に丸くなってみる。
尻尾をゆらゆらさせて、待っていると、丁寧に撫でられる。
そう、それでいいんだ。

僕は満足気に寝っ転がって普段はあまり触らせない腹を見せるというサービスをすると、頬の緩みきったトントンが見えた。

猫の生活も悪くない。
そう思っている、だけど…たまに思うのだ。

ーー人間に戻りたいと。