元"メンバー"で元"彼女"？！〈SnowMan〉 (ページ36)

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渡辺side

『じゃ、また明日ね』

前を向いて歩き出したAは、
どこか儚げで今にも壊れてしまいそうだった。
Aの後悔を1番そばで見てきたのは俺のはずだ。

Aの髪が冷たい風になびいた時、ぎゅっと胸が苦しくなって思わず手で握りしめる。

翔「…A」
『…ん？』

数メートル離れたAが振り向いて、俺に笑顔を見せてくれ事がずっと前から嬉しくて、
その笑顔が見れなくなるのが嫌で、俺はこの"相談相手"というポジションを失いたくなくて…。

翔「…俺にしとけば？」

だからこの気持ちはいつも冗談でしか伝える事ができなかった。でも、今なら。今のAだったら…伝わるのかも…と。
そんな微かな希望を抱いて口を開いた。

翔「俺だったら、お前を幸せにしてやれるよ」

Aの前ではいつも素直になれない俺だけど、
今なら素直になれるんじゃないかって。

一瞬目を見開いたAが柔らかく笑って、
もう一度胸がぎゅっと痛くなった時、

『その冗談は、聞き飽きたよ』

笑顔を崩さずそう笑うA。その表情は、またいつものくだらない冗談なんだって思ってるんだろう。

翔「ふっ…だな」
『もしかして、酔っ払ってる？』
翔「あー…かも」

そりゃそうだ。俺の告白を、真に受けるはずなんてなかったんだ。

女遊びが激しくて、適当で、それがAにとっての今の俺。そう思わせたのは間違いなく自分自身。

翔「…ほら、早く行けよ」
『ん、じゃあ今度こそまた明日』

少し前に涼太が言っていた言葉。
"…ちゃんと向き合わなきゃダメなんだよ"

…俺は今からでもちゃんと向き合えるのか？
そんな事を考えながら、家までの道を歩いた。